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カネカ、フレキ基板用材料の生産能力を大幅増強:2工場に合計110億円を投資
カネカは、滋賀工場と栃木カネカに合計で約110億円を投じ、超耐熱ポリイミドフィルムと超高熱伝導グラファイトシートの生産能力を増強する。
カネカは2018年6月、超耐熱ポリイミドフィルムと超高熱伝導グラファイトシートの生産能力を増強すると発表した。滋賀工場(滋賀県大津市)と栃木カネカ(栃木県真岡市)に合計約110億円を投資し、生産設備の導入を決めた。
超高熱伝導グラファイトシートの生産能力は3倍に
超耐熱ポリイミドフィルムは、耐熱性や耐寒性に優れており、フレキシブルプリント回路基板などで多く用いられている。スマートフォンなど携帯端末向けの他、通信機器や車載機器、医療機器、産業機器などに向けて需要が拡大する。
超高熱伝導グラファイトシートは、超耐熱ポリイミドフィルムを原料に生産する。高い熱伝導率を有し、その性能は銅の3倍に匹敵するといわれている。高性能化が進むモバイル機器用CPUや新デバイスの構造部材に向けた熱対策材料として需要拡大が見込まれている。
このためカネカは、滋賀工場に超耐熱ポリイミドフィルムの生産設備を、栃木カネカに超高熱伝導グラファイトシートの生産設備を、それぞれ増設し増産に踏み切る。増設ラインの稼働は2019年春を予定している。
今回の投資により、超耐熱ポリイミドフィルムの年間生産能力は日本、米国、マレーシアの3地域で合計約30%増強される。超高熱伝導グラファイトシートについては、年間生産能力が約3倍に増えるという。
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