STマイクロ、パワー半導体向けゲートドライバ:ガルバニック絶縁を内蔵
STマイクロエレクトロニクスは、SiC(炭化ケイ素)パワーMOSFETなどを制御するためのガルバニック絶縁ゲートドライバ「STGAP2S」を発表した。
トランジスターの予期しないターンオンを防止
STマイクロエレクトロニクスは2018年8月、SiC(炭化ケイ素)あるいはシリコン(Si)ベースのパワーMOSFETやIGBTを制御するためのガルバニック絶縁ゲートドライバ「STGAP2S」を発表した。
新製品は、既に量産を始めた「STGAP2SCM」と、2018年第4四半期(10〜12月)に出荷予定の「STGAP2SM」を用意した。STGAP2SCMは、専用のアクティブミラークランプピンを備えている。パワーMOSFETのゲートをこの端子に接続しておけば、ターンオン信号が入力されるまで、絶縁グラウンドに電圧を固定しておくことができる。これによって、ハーフブリッジ構成においてトランジスタの予期しないターンオンを防ぐことができるという。
STGAP2SMは、ターンオン出力とターンオフ出力の端子を分離している。このため、外部のゲート抵抗を用いてパワートランジスタのスイッチングを最適化することができるという。
新製品は、ゲート駆動用出力電圧が最大26Vで、4Aのレールツーレール出力を行う。このため、高電力インバーターにおいて高速かつ高い効率でスイッチングすることが可能である。また、入出力間の伝搬遅延時間は最大80ナノ秒であり、SiC製品に適したスイッチング周波数でPWM制御を行うことができる。さらに、dv/dt(スイッチング過渡期に発生する単位時間当たりのドレイン・ソース間の電圧変化量)耐性に優れている。これにより、スプリアススイッチングを防止できるという。
保護機能としては、減電圧ロックアウト(UVLO)機能、加熱保護機能、ハードウェアインターロック機能などを搭載した。
STGAP2Sは、耐圧1700Vのガルバニック絶縁を内蔵している。このため、民生電子機器や産業機器用モータードライバーの他、600/1200Vクラスの高電圧インバーター、DC-DCコンバーター、バッテリー充電器、溶接機、IH調理器などの用途で、部品点数を削減することが可能となる。
STGAP2Sは2製品とも小型パワーパッケージ「SO-8」で供給される。1000個購入時の単価は約1.49米ドルである。STGAP2SCMの評価ボード「EVALSTGAP2SCM」も用意した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 有機的成長を図るST、2018年日本市場で2桁成長へ
STMicroelectronics(以下、ST)は2018年3月、同社社長兼最高経営責任者(CEO)のCarlo Bozotti氏と、次期社長兼CEO(2018年第2四半期就任予定)のJean-Marc Chery氏が出席し、都内で会見を開催し、成長戦略などを説明した。 - MEMSマイクでガス漏れ検知、STが最新製品群を展示
STマイクロエレクトロニクスは、「TECNO-FRONTIER 2018(テクノフロンティア)」で、「Smart Industry」の実現に欠かせない、「センシング」や「モーター制御」「電源制御」に関連する最新ソリューションを紹介した。 - ST、測定距離最大4mのToF測距センサーを発表
STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)は、独自の「FlightSense」技術を用い、測定可能な距離を最大4mとしたToF(Time of Flight)測距センサー「VL53L1X」を開発し量産を始めた。 - STマイクロは全方位戦略でIoTでの成長を目指す
STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)のMEMSデバイス、アナログ半導体事業(Analog and MEMS Group/AMG)を統括するエグゼクティブ・バイスプレジデントのBenedetto Vigna氏がこのほど来日し、同事業におけるIoT(モノのインターネット)向けビジネスについて語った。 - より安全、よりコネクテッド、より環境に優しい
STマイクロエレクトロニクスは、「オートモーティブ ワールド 2018」で、「より安全」「よりコネクテッド」「より環境に優しい」自動車を実現するための半導体ソリューションを紹介した。 - STMicroelectronicsの埋め込みフラッシュメモリ技術(前編)
今回は、開発各社の埋め込みフラッシュメモリ技術を前後編にわたって紹介する。前編では、STMicroelectronicsが製品化している、1トランジスタのNORフラッシュ(1T NOR eFlash)技術を取り上げる。