より安全、よりコネクテッド、より環境に優しい:スマートドライビング向け
STマイクロエレクトロニクスは、「オートモーティブ ワールド 2018」で、「より安全」「よりコネクテッド」「より環境に優しい」自動車を実現するための半導体ソリューションを紹介した。
自動運転や高度運転支援システム(ADAS)を支える
STマイクロエレクトロニクスは、「オートモーティブ ワールド 2018」(2018年1月17〜19日、東京ビッグサイト)で、「より安全」「よりコネクテッド」「より環境に優しい」自動車を実現する、スマートドライビング向け半導体ソリューションを紹介した。
自動車は、車内ネットワークに加え、車車間・車路間通信(V2X)、クラウドサービスを活用するための無線通信などが欠かせなくなってきた。同社は今回、イスラエルのValensと協力し、車載コネクティビティ向けマルチメディアネットワークのデモ展示を行った。
ブースでは1個のヘッドユニットと2個のリアシートモニターを想定し、通信用デバイス装置間を非シールドツイストペアケーブル(UTP)で接続、スマートフォンやUSBメモリなどから高品質の画像データを双方向で送受信するデモを行った。通信用デバイス間の信号伝送には、Valensのマルチメディアプロトコル「HDBaseTオートモーティブ」技術を用いている。
通信用デバイス装置には、「HDBaseTオートモーティブ」に対応したValens 製のIC「VA6000」と、STマイクロ製のアプリケーションプロセッサ「Accordo5」あるいは、セキュリティ機能を搭載した車載用プロセッサ「Telemaco3P」を搭載している。
特に、USBインタフェースやイーサネットを介して通信用デバイス装置に接続された機器から動画や音声を伝送する際、VA6000はこれらのデータを束ねUTPで一括して伝送することができる。「今回のデモは伝送速度2Gビット/秒で双方向通信を行ったが、次世代製品では最大6Gビット/秒に対応する」(説明員)と話す。信号遅延が10マイクロ秒以下というのもVA6000の大きな特長である。通信ケーブル長は最大15mとなっているが、将来は30〜50mの距離にも対応可能という。
5G(第5世代移動通信)の普及などにより、自動車のIoT(モノのインターネット)化も急速に進むとみられている。これによって利便性が高まる一方で、不正アクセスなどに対するセキュリティ対策も重要となる。ブースには、標準規格TPM2.0に加え、セキュリティ認証「Common Criteria EAL5+」の認定を受けた車載グレード対応TPMセキュリティチップや、車載用セキュアマイコンを展示した。これらのICを搭載することでOTA(Over the Air)によるファームウェアのアップデートも、より安全、安心に行うことができるという。
「より安全」な自動車の実現に向けては、HDRとLEDフリッカー(点滅)除去機能を備えた車載用CMOSイメージセンサーのデモ展示を行った。電子ミラーやサラウンドビューシステムなどの画像処理システムに向ける。
自動車のヘッドライトやバックライト、交通信号機、情報表示板、照明器具など、さまざまな用途でLED光源が用いられるようになった。肉眼では常時点灯しているように見えるが、信号を取り込むタイミングが合わないと、イメージセンサーで撮影した画像がちらついて見える。これを電子ミラーなどに応用した場合、この現象は安全運転の妨げになる可能性が高いという。
そこで同社は、「LEDフリッカーフリー」のイメージセンサーを開発した。暗い場所を撮影するために用いるサイズの大きいダイオードでは、連続してデータを取り込む。中間の明るさと明るい場所を撮影するための小さいダイオードは、「チョッピングモード」で画像を取り込む。このモードは取り込む時間の合計は従来と同じだが、一回当たりの取り込み時間を短く分割し、最終的に取り込んだデータを合成する手法である。これによって、明るい部分を撮影する時もブランク時間を極めて少なくすることができ、画像のちらつきをなくすことができるという。
画素数は2.48Mピクセルで、画素サイズは3.2×3.2μm。ダイナミックレンジは145dBで、あらゆるLED周波数のフリッカーと10%からのデューティサイクルに対する耐性を備えている。また、車載用半導体の信頼性試験規格「AEC-Q100グレード2」や、自動車向け機能安全規格「ISO 26262 ASIL-B」にも準拠している。
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