ルネサスのIDT買収会見要旨【随時更新】:データセンター向け伸ばしたい
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2018年9月11日、同日発表したIDT買収に関する会見を都内で開催した。
両社の補完関係の良さを繰り返し強調
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2018年9月11日、同日発表したIDT買収(=既報)に関する会見を都内で開催した。
会見でルネサス 社長兼CEOの呉文精氏は「IDTはデータセンターに強い。ここを伸ばしていきたい」とIDT買収の狙いを説明。ルネサスは、2017年2月にアナログ半導体メーカーのIntersil(インターシル)を買収、統合しているが「IDTはルネサス、Intersilとの事業重複がなく高いシナジーが期待できる。IoT(モノのインターネット)や無線分野は、ルネサスは弱かったが、IDTは強い」と述べた。
IDTは2015年に車載向けセンサーデバイスを主力とするドイツの半導体メーカーZMDIを買収。呉氏は「実は、ルネサスはZMDIを狙っていた」とも明かしながら「(ルネサスの車載向けLSI製品である)R-Car搭載システムでは、IDTのフロントエンドとルネサスのミックスドシグナルが載っている」と両社が補完関係にあることを繰り返し強調した。
今後の買収手続きについて呉氏は「順調にいけば10カ月で完了するとみている。2019年6月末にはクロージングしたい」とした。
IDT買収による業績への影響については「(営業利益ベースで)年間2億5000万米ドルの統合効果を見込んでいる。グロスマージン(=売上総利益率)を50%に上げ、20%を超えるオペレーティングマージンを目指す」と述べた。また今回の買収の資金は、取引銀行から調達する新たな借入金約6790億円を充てるが、「純有利子負債は相当早くの返済を想定している。7000億円の負債を毎年2000億円、返していく」との計画を明かした。
呉氏は「現在、半導体業界は異種格闘技戦の様相を示している。予選通過を狙うような心持ちでは、生き残ることはできず、ワールドカップ優勝を狙っていく。ルネサスは日本企業だが、日本企業とは戦っていない。異種格闘技戦の中で、クルマは絶対に明け渡さない」と語った。
また質疑応答では、「異業種格闘技の中で最終的にどのような目標を描いているか」との問いに対し、呉氏は「半導体もさまざまなジャンルがある。半導体をひとくくりではくくれなくなった。(買収で強化を目指す)データセンター向けでも、速いプロセッサを作るわけではない。信頼性に関わる分野を狙っていく。ルネサス、IDT、Intersilのエンジニアリングのマインドセットは一緒。トヨタ自動車の社長(=豊田章男氏)が『Googleなどがこれからのライバル』と言ったように、われわれも一緒。エンドポイントのインテリジェンスを抑えることで、必ず勝てる」と回答した。
データセンター向け事業に再参入することを疑問視する声に対しては「データセンターでは信頼性のある領域でやっていくのがクライテリア(=評価基準)。過去は(データセンター向けの)業績はきつかったが、技術で劣っていたわけでなく、戦い方が悪かった」と答えた。
また、同社執行役員常務兼CFO(最高財務責任者)の柴田英利氏は、本買収における金銭面以外の条件を問う記者に対して「特にない」と回答。今後のM&Aについては、「コネクティビティは今後も強化したい領域。IDT買収によりRFは手に入るがさらなる強化を狙う。環境が許せば今後も検討する」(柴田氏)とした。
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