太陽誘電、エルナーを完全子会社化:債務超過回避に向け救済
太陽誘電は2018年9月28日、連結子会社であるエルナーを2019年1月1日付で完全子会社化すると発表した。2018年12月期末時点での債務超過回避が困難な状況にあるエルナーを救済するとともに、両社の連携を強める狙い。
2019年1月1日付で
太陽誘電は2018年9月28日、連結子会社であるエルナーを2019年1月1日付で完全子会社化すると発表した。2018年12月期末時点での債務超過回避が困難な状況にあるエルナーを救済するとともに、両社の連携を強める狙い。
太陽誘電とエルナーは2014年に、太陽誘電がエルナーの発行済み株式の22.3%を取得する形で、業務資本提携を締結。2018年4月には、経営不振が続くエルナーは太陽誘電を割当先とした第三者割当増資を実施し、太陽誘電のエルナーに対する出資比率は66.75%に達していた。また、増資と同時に、エルナーは不採算だったプリント回路事業を分離し、台湾企業との合弁化を実施。太陽誘電は、アルミ電解コンデンサーなどコンデンサー事業に特化した企業としてエルナーを連結子会社化していた。
ただ、エルナーは、2018年12月期第1四半期に24億5700万円の特別損失を計上した他、プリント回路事業の合弁化に関連した6億5000万円の特別損失が発生し、2018年12月期第2四半期末時点のエルナーの純資産額は2億7100万円という低い水準にまで低下。さらに、独占禁止法に関連した課徴金および、米国とカナダで提起されている集団訴訟に関わる訴訟費用発生が見込まれ、2018年12月期末時点で債務超過に陥る可能性が高まっている。太陽誘電はエルナーについて「抜本的な資本政策を実施しない場合、2018年12月期末時点で債務超過となり、上場廃止となることが現実的に想定される状況にある」とする。
そうした中で、エルナーは、太陽誘電以外からの支援の可能性も含め債務超過回避策を検討するも、太陽誘電からさらに支援を得ることが、エルナーの企業価値の維持向上の観点から最善であると判断。また、太陽誘電は「独立した上場企業であるエルナーに対し、一大株主という立場を維持する選択肢も検討した。しかし、エルナーの経営状況がさらに悪化した場合には、エルナーとの間の資本業務提携に基づくシナジーを十分に享受できなくなる可能性が生じることや、その他太陽誘電の事業への影響などを慎重に検討した結果、エルナーを太陽誘電の完全子会社とすることが今後の事業展開のためには必要であると判断した」という。
完全子会社化は、エルナーの株式1株に対し、太陽誘電の株式0.025株(株式併合前)*)を割り当てる株式交換で実施する。なおエルナーは2018年12月26日付で上場廃止になる予定だ。
*)エルナーは2018年10月1日をもって、同年9月30日の最終の株主名簿に記録された株主が所有している株式について10株につき1株の割合で併合するため、株式併合後のエルナー1株に対し、太陽誘電の0.25株が割り当てられる。(=2018年10月1日午前10時50分追記)
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