独自のLPWA通信規格、ソニーが世界普及目指す:東京都エリアでプレサービス開始
ソニーは、独自のIoT(モノのインターネット)向け低消費電力広域(LPWA)ネットワーク技術が、ETSIより国際標準規格として公開されたのを機に、世界市場での普及を目指す。
見通し距離100km以上、時速100km以上で移動中も通信可能
ソニーは2018年9月、独自のIoT(モノのインターネット)向け低消費電力広域(LPWA:Low Power Wide Area)ネットワーク技術が、ETSI(European Telecommunications Standards Institute)より国際標準規格として公開されたのを機に、世界市場での普及を目指すと発表した。
ソニーとソニーセミコンダクタソリューションズは、独自のLPWAネットワーク技術を開発し、商用化に向けた技術検討や実証実験を1年余り行ってきた。開発した技術は、空中線電力が20mWの特定小電力無線でありながら、見通し100km以上も離れていたり、時速100km以上で高速移動していたりしても、通信を可能としたのが大きな特長である。
この技術がETSIより、国際標準規格として公開されたことから、この通信規格を「ELTRES(エルトレス)」と名付け、普及に向けて世界展開することを決めた。
具体的には、ソニーネットワークコミュニケーションズが、ELTRESを採用したIoTネットワークサービスの商用化に向けて、2018年9月28日より国内でプレサービスを開始した。このプレサービスでは、外形寸法が47×115×33.7mm、重さ130g以下の専用送信端末機器を用いて、ELTRES採用のIoTネットワークを利用することができる。データ送信は3分間隔で行う。電池は単3形乾電池2本で、約6日間動作するという。
プレサービスを提供する地域は東京都(一部エリアを除く)、利用可能な期間は最大3カ月、利用料金は1000円となっている。同社は、登山や海上での遭難対策、ドローンの安全飛行といった用途での活用を想定している。
同時に、ELTRESを採用したIoTネットワークサービスに関する、「パートナープログラム」も発表した。パートナーには、IoT向けデバイスを設計、製造する「端末パートナー」、ソリューションの開発や構築、運用を行う「ソリューションパートナー」、アプリケーションやプラットフォームを構築する「アプリケーションパートナー」および、これらを販売する「チャネルパートナー」などがある。これらパートナーに対しては、技術情報やマーケティング情報の提供に加え、プロモーションやパートナー同士のビジネスマッチングなども支援する予定である。
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