連載
化合物レーザーをシリコンにモノリシック集積する試み(前編):福田昭のデバイス通信(166) imecが語る最新のシリコンフォトニクス技術(26)(2/2 ページ)
本シリーズも、いよいよ最終章となる。最後は、シリコン基板に、化合物半導体レーザーをモノリシックに集積する試みを、前後編にわたって解説する。
InGaAsの量子井戸レーザーをシリコン基板に作製
この手法「アスペクト比トラッピング(Aspect Ratio Trapping)」を利用して、インジウム・ガリウム・ヒ素(InGaAs)の量子井戸(QW:Quantum Well)半導体レーザーを試作してみせた。シリコン基板の表面に二酸化シリコン(SiO2)の絶縁膜を形成して細長い溝を切る。この細長い溝を通してGaAsをシリコン基板表面から成長させる。GaAsの成長とともに発生した貫通転位は、溝の壁で成長が止まる。
結晶欠陥が大幅に減少したGaAs層をバッファ層として使い、ガリウム・リン・ヒ素(GaPAs)層とInGaAs層の量子井戸構造を形成して発光層とする。
「アスペクト比トラッピング(Aspect Ratio Trapping)」を利用してInGaAsの量子井戸半導体レーザーをシリコン基板から直接、製造。左は構造図。中央は製造した半導体レーザーの断面を電子顕微鏡で観察した画像。左は発光モードのシミュレーション結果。出典:imec(クリックで拡大)
(後編に続く)
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