インテル「第9世代Core」プロセッサ、クロックは最大5GHz:“STIM”で動作周波数を高めた
インテルは2018年10月11日、デスクトップ向けの最新プロセッサ「第9世代インテル Coreプロセッサー(以下、第9世代Coreプロセッサー)」を発表した。ゲーミング向けに設計された製品で、「Core i9」「Core i7」「Core i5」の3種がある。既に予約を開始していて、10月19日に発売される。
インテルは2018年10月11日、デスクトップ向けの最新プロセッサ「第9世代インテル Coreプロセッサー(以下、第9世代Coreプロセッサー)」を発表した。ゲーミング向けに設計された製品で、「Core i9」「Core i7」「Core i5」の3種がある。既に予約を開始していて、10月19日に発売される。
Core i9の最上位品となる「Core i9-9900K」では、「ターボ・ブースト・テクノロジー」により、シングルコア当たり最大5GHzの動作周波数を実現した。インテル 執行役員常務 技術本部 本部長の土岐英秋氏は、「ついに標準仕様で5GHzに達した」と強調する。Core i9-9900Kは、8コア/16スレッド(ハイパースレッディング)で、キャッシュ容量は16Mバイト、TDP(熱設計電力)は95W。なお、Core i7とCore i5では、ハイパースレッディングは対応していない。
外部との高速通信を可能にするよう、チップセット「Z390」も強化した。Z390では、USB 3.1 Gen2(10Gビット/秒)や、IEEE 802.11acに対応した「インテル Wireless-AC」を統合している。
5GHzという高い動作周波数を実現した技術の一つが「STIM(エスティムと発音)」だ。Soldering Thermal Interface Material(はんだを使用したTIM)のことで、ダイとヒートスプレッダー(放熱板)の接合に、はんだを用いる技術である。従来はシリコングリースを用いてきたが、そこにはんだを使うことで、ダイ/ヒートスプレッダー間の熱伝導性が高まり、基板とは反対側のヒートスプレッダーに、より多くの熱を効率的に逃がすことができる。これによってトランジスタのジャンクション温度を低くでき、高速のトランジスタを搭載できるようになる。
第9世代Coreプロセッサーには、Intelの14nmプロセスの派生版となる「14nm++」プロセスを適用。キャッシュのアーキテクチャは、ユニファイドキャッシュを採用している。
併せて、第9世代Coreプロセッサーを使用した、クリエイター向けのCPU「インテルCore Xシリーズ・プロセッサー」も発表した。Core i7を使った1種、Core i9を使った6種を、8コアから18コアの範囲でそろえている。インテル 執行役員 マーケティング本部長の山本専氏は、「クリエイターの多様なニーズを満たす、拡張性のあるデスクトップ向けCPUシリーズとなっている」と述べる。
同氏は、「テクノロジーが世界にもたらす変革の中で、PCは重要な役割を果たした。Intelは、そのPCのプラットフォームを発展させていく」と強調した。
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