複数のイメージセンサー信号を1つのAPで受信:1つのMIPIポートで対応
ソニーは、新たなデータ転送機能を搭載したセンシング向けグローバルシャッター機能付きCMOSイメージセンサー「IMX418」を商品化した。1つのMIPI(Mobile Industry Processor Interface)入力ポートを備えたアプリケーションプロセッサ(AP)に対して、複数のイメージセンサーを接続してデータ転送が可能となる。
消費電力を低減、移動体でもグローバルシャッター機能を実現
ソニーは2018年10月、新たなデータ転送機能を搭載したセンシング向けグローバルシャッター機能付きCMOSイメージセンサー「IMX418」を商品化した。1つのMIPI(Mobile Industry Processor Interface)入力ポートを備えた既存のアプリケーションプロセッサ(AP)に対して、複数のイメージセンサーを接続してデータ転送が可能となる。
イメージセンサーとその後段で画像処理を行うAPとの接続は、MIPIインタフェース用のポートを使い、1対1で行うのが一般的である。このため、複数のイメージセンサーを用いるような用途では、AP側に同等数のMIPI入力ポートを用意する必要があった。
これに対して新製品は、独自のデータ送信技術を搭載している。同一配線上に接続した複数のイメージセンサーから、同時露光で撮影したデータを、1つのMIPI入力ポートに対して順番に転送する技術である。これによって、APに搭載された1個のMIPI入力ポートを利用して、数多くのイメージセンサーを接続することができる。データ転送用の配線数を削減することも可能となった。
各イメージセンサーで撮影した画像データをAPに転送する方法は、AP側でのデータ処理方法によって、「フレームごと」か「ラインごと」かを選択することができる。
同社はこれまでも、フォーカルプレーンひずみのないグローバルシャッター機能を搭載したCMOSイメージセンサーを産業機器向けに供給してきた。新製品は、従来製品に比べて低電圧駆動を可能にした。このため、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)やドローン、自律走行ロボットなど、低消費電力が求められる移動体向けにも適用できる。画角は縦横比1対1とした。
IMX418は、イメージサイズが1/3.6型で有効画素数は100万画素である。フレームレートは最大120フレーム/秒、画像フォーマットは白黒RAWとなっている。供給形態はチップあるいはチップサイズパッケージで出荷する。サンプル価格(税別)はチップ製品が1500円、パッケージ製品が2000円である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ソニーが中計発表、センシングでも世界一を目指す
ソニーは2018年5月22日、2018年度(2019年3月期)から2020年度(2021年3月期)までの3年間の中期経営計画を発表した。同計画では、金融部門を除くソニーグループとして3年間で累計1兆円の設備投資を実施するとし、「設備投資の最大項目はCMOSイメージセンサー」(社長兼CEO 吉田憲一郎氏)と半導体事業への積極投資を継続する姿勢を打ち出した。 - 独自のLPWA通信規格、ソニーが世界普及目指す
ソニーは、独自のIoT(モノのインターネット)向け低消費電力広域(LPWA)ネットワーク技術が、ETSIより国際標準規格として公開されたのを機に、世界市場での普及を目指す。 - ソニー、0.5型で最高解像度のUXGA有機ELディスプレイ
ソニーは2018年5月28日、0.5型で最高解像度となるUXGA(1600×1200)を実現した有機ELマイクロディスプレイ「ECX339A」を商品化すると発表した。サンプル出荷は2018年1月より開始しており、量産出荷は2018年11月より開始を予定する。 - 4800万画素に到達、ソニーのスマホ向けイメージセンサー
ソニーは2018年7月23日、有効4800万画素のスマートフォン向け積層型CMOSイメージセンサー「IMX586」を商品化すると発表した。同製品は1/2型サイズでありながら、世界初(同社調べ)となる0.8μmの微細な画素サイズを達成した。 - ソニー、画素並列ADC搭載のイメージセンサーを開発
ソニーは「ISSCC 2018」で、画素並列A-D変換でグローバルシャッター機能を実現した、146万画素の裏面照射型CMOSイメージセンサーを開発したと発表した。 - ソニー、スマートセンシングプロセッサ搭載ボード
ソニーは、ドローンやスマートスピーカーといったIoT(モノのインターネット)端末向けに、スマートセンシングプロセッサ搭載ボード「SPRESENSE(スプレッセンス)」を発売する。