小型モーター市場、2025年に約4兆円規模へ:家電や自動車電装品がけん引
小型モーター8品目の世界市場(生産ベース)は、2025年に約3兆9000億円となる――。富士経済が小型モーター市場の予測を発表した。
DCブラシ付き/ブラシレスモーターなどに注目
富士経済は2018年10月31日、自動車電装品や家電/住設機器、ドローンなどの用途に用いられる小型モーターの世界市場を調査し、2025年までの市場予測を発表した。これによると、小型モーター8品目の世界市場(生産ベース)は、2025年に約3兆9000億円規模へと拡大する見通しだ。
今回の調査は、おおむね出力容量が0.7〜1kW以下の小型モーターを対象とした。その上で、「DCブラシ付きモーター」「ステッピングモーター」「ファンモーター」「ブラシレスモーター」「インダクションモーター」「シンクロナスモーター」「ユニバーサルモーター」および、「振動ユニット」の8品目に分けて調査した。調査期間は2018年6〜8月で、専門調査員が関連企業などにヒアリングを行った。
調査結果によると、小型モーター8品目の世界市場は、2018年見込みが3兆3945億円で、2017年比0.6%減となる。個数ベースでは145億1000万個で、同2.5%増加する。これに対し2025年は3兆9373億円で、数量は167億個と予測した。
製品別には、自動車関連向けや家電/住設機器向けを中心に、DCブラシ付きモーターが堅調に推移する見通しだ。これに加え、ブラシレスモーター需要の急伸、サーバや自動車電装品向けファンモーター、家電製品向けインダクションモーターなどの伸びに期待する。
主な用途別市場も生産個数ベースでまとめた。自動車関連向けは2018年見込みの59億8000万個に対して、2025年は77億3000万個と予測した。DCブラシ付きモーター、ファンモーターなどの動きに注目している。家電/住設機器関連向けは、2018年見込みの30億9000万個に対して、2025年は35億個と予測した。新興国における家電機器の需要拡大に伴い、小型モーター需要は続伸する。中でもブラシレスモーターの市場性に注目する。
生産拠点を地域別に調査した。中心は中国をはじめとするアジア地域である。家電製品や自動車の生産量が多いためで、この傾向は今後も大きく変わらないとみている。
調査では、注目市場として「DCブラシ付き/ブラシレス(パワー系)モーター」と「ファンモーター」を挙げた。DCブラシ付きモーターは今後、自動車電装品向けの車体系(ドアロックやミラーなど)が市場をけん引するとみている。さらに、パワートレイン系(ポンプや電子スロットル)、シャシー系(パワーステアリングやパーキングブレーキ)などでの採用率が高まる。DCブラシレスモーターも、家電機器や自動車電装品向けを中心として、堅調に需要が拡大すると予測した。
ファンモーターの世界市場(生産ベース)は、2018年見込みの22億個に対し、2025年は27億7000万個と予測した。ファンモーターは、ブラシレスモーターの中で排熱用途に用いられる「軸流ファン」や「ブロアファン」「ACファン」「ECファン」を対象とした。サーバや自動車用冷却ファン、住宅用換気(熱交換)向けなどが増加すると予想した。
今回は、小型モーター関連する部材やIC市場についても調査した。特に、ネオジム焼結磁石市場は2018年見込みが全体で5100億円、6万4000トンとなる。このうち、小型モーター向けはほぼ1割を占め485億円、6700トンの市場規模となる。これに対し2025年は、全体で7200億円、9万5000トンとなる。このうち、小型モーター向けは390億円、5500トンの規模と予測する。
モーター制御用マイコンとゲートドライバーICの市場規模(生産ベース)についても、用途別に予測した。自動車用は2018年見込みの145億個から、2025年には210億個へと大幅に増える。産業用も14億4000万個から20億個へ、家電用は29億6000万個から38億個へ、それぞれ増加する。これに対し情報機器用は、プリンタ向け需要の減少などにより、20億9000万個から19億個へと減少する見通しだ。
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