パナソニックが次の100年で目指すのは「工業化社会で失われた価値」の提供:やり方を変えて挑む(2/2 ページ)
2018年11月1日、パナソニックが創業100周年を記念して開催したユーザーイベント「CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018」において、同社専務執行役員の宮部義幸氏が「100年企業のイノベーション」と題して講演を実施。次の100年に向けたパナソニックの取り組みについて説明した。
Society 5.0の時代に向けた新たな組織作り
フレキシブルに物事を決められる組織になるために条件として3つの「C」を掲げる。Compact(コンパクトな組織)、Complete(完結した組織)、Constraint free(しがらみのない組織)の3つだ。この3つの「C」を満たす組織作りを実践する場が2017年にシリコンバレーに設立した「Panasonic β」(パナソニック・ベータ)だ。従来型の組織である事業部制に代表される「タテパナ」に対して、組織や職能の壁を超えて横連携を行う「ヨコパナ」を小さな完結した組織で実現した“もう一つのパナソニック”であり「イノベーションを量産するマザー工場」(宮部氏)と位置付ける。
「Panasonic βでは無数のアイデアが生まれ、そのほとんどが却下されていっている。ただ、アイデアの検証は、必ずモノやカタチにして検証している。まだ経験することのできないSociety 5.0を実現するには、これから社会に役立つと思うことは、どんどん試していく必要がある。そして、アイデアの検証は、否定から入らず、とことん可能性を議論している」(宮部氏)。そうしたPanasonic βの取り組みで生まれた成果の一つが、“Society 5.0時代の価値”の提供を目指した「HomeX」だ(関連記事:“暮らしのiOS”か? パナソニックの新たな暮らし基盤「HomeX」デビュー[MONOist])
宮部氏は、こうした取り組みを「第二の創業」と位置付けて行っている。「創業100年前後の企業の顔ぶれをみると“このままでは枯れていく企業”というイメージを抱いてしまう企業が多い。そこで、次の100年に向けて、Panasonic βを設立した。Panasonic βは、ことし、1歳になったばかりでまだまだ認知度もない小さな企業。だが、5歳、10歳、20歳と育って、次の100年のパナソニックになってほしいと思っている」と自身の講演を締めくくった。
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