広げてきた製品群で車、産業、通信の攻略目指すオンセミ:2019年に設立20周年
ON Semiconductor(オン・セミコンダクター)は2018年12月5日、東京都内で事業方針説明会を開催し、半導体需要の拡大する自動車、産業、通信の3分野に経営資源を集中し、豊富な半導体製品群をベースにしたシステム提案を行うと強調した。
ON Semiconductor(オン・セミコンダクター)は2018年12月5日、東京都内で事業方針説明会を開催し、半導体需要の拡大する自動車、産業、通信の3分野に経営資源を集中し、豊富な半導体製品群をベースにしたシステム提案を行うと強調した。
ON Semiconductorは2019年に、Motorolaから独立し20周年の節目を迎える。同社コーポレートストラテジ&マーケティング担当副社長のDavid Somo氏は「1999年の会社設立当初は、年間売上高が約10億米ドルに過ぎなかった」と振り返る。設立当初、ON Semiconductorは、Motorolaから引き継いだディスクリート/スタンダード(汎用半導体)製品事業のみだったが、過去19年間で16件の企業/事業買収を実施。さらに「買収と並行して積極的な研究開発投資を実施してきた」(Somo氏)という結果、ディスクリート/スタンダード製品から、パワーマネジメントIC、プロセッサ、無線IC、イメージセンサーなど幅広い製品群をそろえる総合半導体メーカーに変ぼう。売り上げ規模も設立当初の約6倍に相当する59億米ドル(2018年見込み)に成長した。
20周年を目前に同社では「エレクトロニクス業界のメガトレンドに沿い、自動車、産業、通信という3分野に経営資源を投入し、成長を図る」(Somo氏)という戦略を敷く。既に、同社売上高の約75%を注力3分野向けで占めており、従来からの事業戦略を継続、強化するという方向性にある。
ラインアップ生かしたソリューション提案
注力3分野における今後の成長を図る上で打ち出すのが、会社設立以来、拡張してきた製品ラインアップを生かした“ソリューション提案”だ。特に低耐圧から高耐圧までラインアップするパワー半導体/パワーマネジメントIC製品を軸にして、多様なニーズに対応する。
自動車では、電動化に向けて、パワーMOSFET、IGBTといったシリコンパワーデバイスに加え、SiC(炭化ケイ素)、GaN(窒化ガリウム)といったワイドバンドギャップ半導体デバイスを投入する姿勢を強調。また自動運転に向けては、車載向けで世界シェア首位というイメージセンサーの他、超音波センサー、レーダー、ライダー(LiDAR)といった各種センサーを網羅した製品群を用意し、市場の取り込みを図る。
車載センサー製品の中核を担うイメージセンサーについては、テクノシステムリサーチの調査結果を根拠にして「車載市場におけるシェアは拡大している」(同社オートモーティブソリューションディビジョンインテリジェントセンシンググループバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャ Ross Jatou氏)という。シェア拡大の理由としては、ダイナミックレンジの広さなどON Semiconductor製イメージセンサーの強みが市場で受け入れられていることに加え「これまで競合に遅れていた」(Jatou氏)という暗電流の抑制にこのほど成功したことなどを挙げた。
通信分野に対しては、5G(第5世代移動通信)の立ち上がりで需要増が見込まれる携帯電話基地局とデータセンター用サーバ/ストレージ機器をターゲットに、パワーソリューションを展開。産業分野に対しても、低耐圧から高耐圧までの各製品をそろえるパワーソリューションを軸にしながらも、産業用モノのインターネット(IIoT)でもビジネスの拡大を狙う。IIoTについても、パワー/電源製品に加え、センサー、通信IC、マイコン/プロセッサを包括的に提供できる製品群を有していることを強調。エッジ領域でのAI活用を前提にしたIIoT向けソリューションの開発強化を継続していくとした。
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