JDI、静電容量式のガラス指紋センサーを量産:透明で大面積、今後は柔軟性も
ジャパンディスプレイ(JDI)は、静電容量式ガラス指紋センサーの量産を始めた。透明なガラス上に指紋センサーを形成した。スマートドアロックなどのセキュリティシステム用途に向ける。
指紋の凹凸による静電容量の変化を検出
ジャパンディスプレイ(JDI)は2018年12月、静電容量式ガラス指紋センサーの量産を始めると発表した。透明なガラス上に指紋センサーを形成した。スマートドアロックなどセキュリティシステム用途に向ける。
新製品は、LTPS(低温ポリシリコン)液晶ディスプレイに搭載している静電容量型タッチ入力技術を応用して開発した。液晶ディスプレイ表面に指が触れると静電容量に変化が生じる。この変化を検知することで触れたエリアを特定することができる。今回は、この技術を進化させ、指紋の凹凸による静電容量の変化までも検出できるようにした。さらに、指紋センサーに適した駆動技術や認証アルゴリズムを開発し、これらの完成度を量産レベルまで高めた。
これまでの指紋センサーは、シリコン基板を用いるのが一般的である。これに対し同社の指紋センサーは、ガラス基板上に形成した。このため、透明で大面積を実現することが可能となった。バックライトやディスプレイと組み合わせることもできる。将来的には、フレキシブルディスプレイ技術を活用して、曲げても割れないフレキシブル指紋センサーの開発も視野に入れる。
指紋による個人認証は、スマートフォンで広く利用されるようになった。これからは住宅の玄関ドアや自動車ドアの開閉にも、指紋による精度の高い個人認証が求められているという。開発した指紋センサーは低コストで大面積に対応できる。このため、特定の指先だけでなく、指全体の指紋検出や認証を行うことも容易である。
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