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JDI、LTPSなどで攻勢かけ車載売上高3年で1.6倍へ有機ELは2021年投入を目指す

ジャパンディスプレイは、成長事業として位置付ける車載向けディスプレイ事業を継続的に強化し、2019年度に車載ディスプレイ事業として2016年度比1.6倍に相当する約1500億円規模の売上高を目指す。2017年10月25日に開催したメディア向け事業説明会で明らかにした。

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2016年度車載向け売上高は2012年度比1.5倍に

 ジャパンディスプレイ(以下、JDI)は2017年10月25日、メディア向けに車載向けディスプレイ事業に関する説明会を開催し、2019年度(2020年3月期)車載向け売上高として2016年度比1.6倍となる約1500億円を目指し強化するとの方針を示した。


将来の車載ディスプレイ想定し開発したコンセプトモデルのコックピット (クリックで拡大)

 JDIは、2019年度に全社営業利益400億円、営業利益率5%達成の目標を掲げ、構造改革、成長事業の強化に取り組む。その中で、車載向けディスプレイ事業は成長事業の1つと位置付け、強化を実施している。2017年10月1日付で構造改革策の一環として導入した社内カンパニー制では、車載向けディスプレイ事業を柱にした社内カンパニー「車載インダストリアルカンパニー」を設置している。


JDI執行役員 月崎義幸氏

 車載インダストリアルカンパニー社長を務める執行役員の月崎義幸氏は、「自動車に組み込まれるディスプレイの需要は、2017年から2025年にかけて年平均10%で成長する。現状、自動車に搭載されるディスプレイは、カーナビゲーション用ディスプレイと計器クラスタの一部に3型ほどの小型ディスプレイ程度。しかし、今後は、カーナビが進化しCID(センターインフォメーションディスプレイ)となり、クラスタの全面ディスプレイ化が進む他、エアコンやネット環境を制御するディスプレイ、HUD(ヘッドアップディスプレイ)、助手席用ディスプレイなども登場し、1台当たりに搭載されるディスプレイ枚数は5〜6枚になる」と車載向けディスプレイ市場の有望性を強調した。

 2016年度時点のJDIの車載向け売上規模は約900億円で「JDIが発足した2012年度と比べて1.5倍の規模。安定的に、当初計画通りに売り上げ規模を拡大してきた。ここに来てその成長は加速している。2019年度には2016年度比60%増の売り上げ規模を目指す」(月崎氏)

低温ポリシリコン、2021年以降は印刷方式OLEDで攻勢へ

 今後の成長に向けて、車載ディスプレイへの最新要求に満たす製品投入を積極化する。JDIは今後の車載ディスプレイに要求される要件として「狭額縁、薄型バックライト」「曲面、横長、シームレス」などを挙げる。これら要件を満たすディスプレイとして、2017年5月から車載向けに量産を開始した低温ポリシリコン(LTPS)液晶ディスプレイが優位にあるという。月崎氏は「LTPSは、従来のアモルファスシリコン(a−Si)よりも高精細化しやすく、a−Siは複数のドライバーICが必要になる大型サイズでも、1個のドライバーICで駆動でき、狭額縁化や曲面加工が行いやすいなどの利点がある。2019年度には、車載向けディスプレイ出荷の4割はLTPSが占めるだろう」との見通しを示した。


低温ポリシリコン(LTPS)液晶ディスプレイの利点 (クリックで拡大) 出典:ジャパンディスプレイ

 なおa−Siについても、「ドライバー1個で駆動できる小型領域では底堅い需要がある」(月崎氏)とし、このほど、車載向けa−Siディスプレイの前工程製造拠点である鳥取工場の生産能力を10%ほど増強する設備投資を完了させている。

 狭額縁、薄型、曲面、横長といった今後の車載ディスプレイニーズを満たす技術としては「有機ELディスプレイ(以下、OLED)も意識している。車載ディスプレイで求められている160dpiクラスであれば、(蒸着方式よりも製造コストの安い)印刷方式の方が向く。(グループ企業である)JOLEDと共同開発を進め、2021年以降に車載向けに量産するための技術的なめどは立っている」(月崎氏)と述べた。

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