ニュース
2023年までに量子コンピュータの実用化を目指すNEC:コヒーレント時間1ミリ秒(3/3 ページ)
NECは、2023年までに、1ミリ秒と長いコヒーレント時間を持つアニーリング型量子コンピュータ(量子アニーリングマシン)を本格的に実用化すべく、開発を進めている。
コヒーレント時間が1ミリ秒のマシンを2023年にも実用化
NECは、「1ミリ秒」のコヒーレント時間を目標としている。例えば2000ビットのアニーリング型量子コンピュータでコヒーレント時間を1ミリ秒維持できれば、1050の試行を行えると中村氏は述べる。
2018年10月には、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクト*)の一環として、東京工業大学、早稲田大学、横浜国立大学とともにアニーリング型量子コンピュータの開発を進めていくことを発表した。さらに、産業技術総合研究所(産総研)と連携し、産総研 ナノエレクトロニクス研究部門内に「NEC-産総研 量子活用テクノロジー連携研究室」を、2019年3月に発足させる予定だ。
こうした取り組みによって、NECは、2023年を目標に、1ミリ秒のコヒーレント時間を持つアニーリング型量子コンピュータを本格的に実用化する方針だ。中村氏は、ビジネスの規模や具体的なビジネスモデルについて、現時点で明言できることはないとしながらも、「こだわりたいのはコヒーレント時間。ここを長くして、組み合わせ最適化問題で良い解を探せるマシンを開発したい」と強調した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 予算なき量子コンピュータ開発、欧米より一桁低い日本を憂う
今回は番外編として、量子コンピュータについて少し触れてみたい。日本が開発した量子コンピュータの原理を、いち早くハードウェアに実装したのは、カナダのD-Wave Systemsであった。 - 光による量子コンピュータ、現行技術で実現へ
北海道大学と京都大学の研究グループは、現在の技術レベルでも光による量子コンピュータを実現できる方法を開発した。量子ビットの誤り耐性を従来の100億倍に高めることで可能とした。 - IBM、量子コンピュータを本格的に商用化へ
IBMは、20量子ビット(qubit)の汎用量子コンピュータ「IBM Q」の本格的な商用化を間もなく開始するという。50qubitの試作機についても、稼働を確認したとしている。 - 幻の粒子を発見、トポロジカル量子コンピュータ応用へ
京都大学、東京大学、東京工業大学らの研究グループは、幻の粒子と呼ばれている「マヨラナ粒子」を発見した。 - 京都大学、弱い量子コンピュータの強さを証明
京都大学の研究グループは、1量子ビットしか使えない「弱い」量子コンピュータでも、現行のコンピュータ(古典コンピュータ)より「強い」場面があることを、理論的に証明した。 - 量子コンピュータでも解読困難、新暗号技術開発
情報通信研究機構(NICT)サイバーセキュリティ研究所セキュリティ基盤研究室は、量子コンピュータでも解読が困難な、格子理論に基づく新たな公開鍵暗号「LOTUS(ロータス)」を開発した。