裏面照射型でグローバルシャッター機能を搭載:積層型CMOSイメージセンサー
ソニーは、独自の裏面照射型画素構造でグローバルシャッター機能を搭載した、積層型CMOSイメージセンサー技術「Pregius S(プレジウス エス)」の開発に成功した。
画素サイズを2.74μmに微細化
ソニーは2019年3月、独自の裏面照射型画素構造でグローバルシャッター機能を搭載した、積層型CMOSイメージセンサー技術「Pregius S(プレジウス エス)」の開発に成功したと発表した。2019年夏以降にもサンプル出荷を始める予定である。
グローバルシャッター機能を搭載したCMOSイメージセンサーは、画像のひずみなどがないため、製造や物流の検査機器などに用いられている。既に、表面照射型画素構造の製品が一般的に採用されているが、新たな用途拡大に向けて画素サイズの小型化などが今後の課題となっていた。
そこでソニーは、裏面照射型でグローバルシャッター機能を実現する独自の画素構造を開発した。従来の表面照射型構造製品は画素サイズが3.45μmで有効画素数は1200万程度であった。これに対し新開発の画素構造は、従来の感度や飽和特性を維持しながら、画素サイズを2.74μmに微細化した。これにより、画素数は約1.7倍の2000万画素を実現することが可能となった。
また、裏面照射型画素構造にすることで、配線レイアウトの自由度も高い。出力データレートは従来の約2.4倍と高速性を実現。測定や検査工程における時間の短縮が可能になるという。この他、従来に比べて量子効率(Peak QE)は20%増加、飽和信号量(単位面積当たり)は44%増加、ダイナミックレンジは12%増加、光入射角依存特性(入射角20度の光に対する感度)は約2倍の性能を実現した。
Pregius Sは、スマートROI(Region of Interest)やセルフトリガー、画像の圧縮や合成処理といった、さまざまな信号処理回路を組み込むことが可能である。これによって、センサーモジュールの小型化と同時に、後段処理の負荷を軽減することができるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ソニー、車載向け540万画素CMOSイメージセンサー
ソニーは、月明りから太陽光まで広い外光環境において、障害物や標識などの交通環境を高い精度で認識することが可能な車載カメラ向け1/1.55型CMOSイメージセンサー「IMX490」を開発した。 - 4800万画素に到達、ソニーのスマホ向けイメージセンサー
ソニーは2018年7月23日、有効4800万画素のスマートフォン向け積層型CMOSイメージセンサー「IMX586」を商品化すると発表した。同製品は1/2型サイズでありながら、世界初(同社調べ)となる0.8μmの微細な画素サイズを達成した。 - ソニー、スマートセンシングプロセッサ搭載ボード
ソニーは、ドローンやスマートスピーカーといったIoT(モノのインターネット)端末向けに、スマートセンシングプロセッサ搭載ボード「SPRESENSE(スプレッセンス)」を発売する。 - ソニー、画素並列ADC搭載のイメージセンサーを開発
ソニーは「ISSCC 2018」で、画素並列A-D変換でグローバルシャッター機能を実現した、146万画素の裏面照射型CMOSイメージセンサーを開発したと発表した。 - ソニーが中計発表、センシングでも世界一を目指す
ソニーは2018年5月22日、2018年度(2019年3月期)から2020年度(2021年3月期)までの3年間の中期経営計画を発表した。同計画では、金融部門を除くソニーグループとして3年間で累計1兆円の設備投資を実施するとし、「設備投資の最大項目はCMOSイメージセンサー」(社長兼CEO 吉田憲一郎氏)と半導体事業への積極投資を継続する姿勢を打ち出した。 - ソニー、0.5型で最高解像度のUXGA有機ELディスプレイ
ソニーは2018年5月28日、0.5型で最高解像度となるUXGA(1600×1200)を実現した有機ELマイクロディスプレイ「ECX339A」を商品化すると発表した。サンプル出荷は2018年1月より開始しており、量産出荷は2018年11月より開始を予定する。