Intelの新FPGA「Agilex」、高い柔軟性を実現:CXLやBFLOAT16もサポート(3/3 ページ)
Intelは2019年4月2日(米国時間)、10nmプロセスを採用したFPGAの新ファミリー「Agilex(アジレックス)」を発表した。Agilexは、Agility(素早さ)とFlexibility(柔軟性)を掛け合わせた名称だという。
「BFLOAT16」をサポート
Agilexは、機械学習/深層学習のアクセラレーターとしても適しているとDorsey氏は説明する。「機械学習/深層学習において、開発者たちが最も注目しているものの一つが、ニューラルネットワーク用の新しい数値形式BFLOAT16だ。Agilexは、このBFLOAT16とFP16をサポートする初のFPGAである」(同氏)
「AI(人工知能)に向けたIntelの戦略は、当社が提供するプロセッサとアクセラレーターを効率よく接続することである。Intelのエッジデバイス向け深層学習ツールキットである『OpenVINO』を使うことで、IntelのプロセッサやFPGAを使ったAIアプリケーションを、より簡単に開発できるようになる」(Dorsey氏)
Agilexの開発ツールとしては、ハードウェア開発者向けには「Quartus Prime」を、ソフトウェア開発者向けには「One API」を提供する。
Aiglexのファミリーは3種類。最も汎用性のある「Fシリーズ」、接続性を重視した「Iシリーズ」、演算負荷が高いアプリケーション向けにDDR5やOptane DCを搭載した「Mシリーズ」がある。Dorsey氏によれば、エンジニアリングサンプルの提供は2019年第3四半期に、量産は現在から約1年後(2020年4月ごろ)の開始を予定している。
Intel FPGA全ブランドにまたがる後継品
なお、Intel FPGAには「Cyclone」「Arria」「Stratix」など複数のブランドがあるが、Dorsey氏によれば、Agilexの立ち位置は、特定のブランドの後継ではなく、全てのFPGAブランドにまたがる後継ブランドとなる。同氏は「今回発表したAgilexのファミリーはハイエンドに位置付けているので、イメージとしてはStratixの後継ブランドとなる」と説明する。今後は、ミッドレンジのArriaやローエンドのCycloneをカバーする仕様のAgilexファミリーが登場すると同氏は述べた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- AIはFPGAのスイートスポット、Xilinxがエッジ推論をデモ
Xilinxは、組み込み技術の国際展示会「embedded world 2019」(2019年2月26〜28日、ドイツ・ニュルンベルク)で、自動車や監視カメラなどでの推論、いわゆるエッジデバイスでの推論をイメージしたデモを展示した。 - “お蔵入りチップ”が掘り出し物に? Intel FPGAが示す過去の半導体の価値
Intel FPGAとして発表された「Cyclone 10 LP」。これには、約10年前のプロセスとシリコンが使われている。これは、何を意味しているのだろうか。 - Intel、最上位FPGA「Stratix 10」の搭載カードを発表
Intelは2018年9月25日(米国時間)、同社製FPGA「Stratix 10 SX」を搭載したプログラマブルアクセラレーションカード(PAC)を発表した。既に発表済みとなるミッドレンジFPGA「Arria 10」搭載版PACとともに、データセンターアプリケーション向けポートフォリオを拡充する。 - 大規模データセンターをめぐる競争が激化
Web大手各社は、これまでにない大規模な分散コンピュータネットワークの構築をめぐり、「ムーアの法則」のごとく、競争の中に置かれているような状態にある。コンピュータサイエンスの歴史書に新たな章が書き加えられようとしているところだが、その動きがどこに向かっているのかは不明だ。 - データセンターを支える光伝送技術 〜ハイパースケールデータセンター編
今回は、エンタープライズデータセンターに続き、GoogleやFacebook、Appleなどが抱える巨大なデータセンター、「ハイパースケールデータセンター」について解説する。 - XilinxがDaimlerと協業、「自動運転の主役はFPGA」
Xilinxは2018年6月26日(米国時間)、Daimler AGと自動運転などの車載システム開発で協業すると発表した。Xilinxの車載プラットフォームをDaimler AGに提供し、Mercedes-Benzブランドの市販車に搭載する予定だ。