GHS、RTOSと仮想化技術で安全性を格段に向上:組込みシステム開発技術展 春
グリーン・ヒルズ・ソフトウェア(GHS:Green Hills Software)は、「第22回 組込みシステム開発技術展 春」で、リアルタイムOSと仮想化技術をベースに、システムの安全性や信頼性を格段に向上させる、いくつかのソリューションを紹介した。
ROSプログラムのデバッグ環境を一貫して提供
グリーン・ヒルズ・ソフトウェア(GHS:Green Hills Software)は、「第22回 組込みシステム開発技術展 春」(2019年4月10〜12日、東京ビッグサイト)で、リアルタイムOS「INTEGRITY」および、仮想化技術「Multivisor」などにより、システムの安全性や信頼性を格段に向上させる、いくつかのソリューションを紹介した。
GHSは、航空宇宙機器や自動車、医療機器など高い安全性(セーフティとセキュリティ)が要求される用途に向けて、リアルタイムOSやソフトウェア統合開発環境「MULTI」などを提供している。ブースでは、これら基幹製品をベースに、情報漏えいや機能安全に対応するためのソフトウェア開発環境について、デモ展示を行った。
その1つが、クレジットカードの内容を読み取る「IoTセキュアPOSシステム」のデモである。会場にはLinuxベースのアプリケーションソフトウェアと、INTEGRITY上にLinuxベースのアプリケーションソフトウェアを仮想化した2つのシステムを用意した。
いずれも読み取るカードには、書き込まれた情報を盗み出すためのマルウェアが仕込まれている。このカードをスキャンすると、セキュリティ情報をLinux側で管理する一般的なシステムは、ハッキングされて情報が盗まれる状態となった。これに対し仮想化システムは、INTEGRITY側でセキュリティ情報を管理しているため、カード番号など機密情報の盗難を防止できるという。
「ゲストOSを修正することなく稼働し、Linuxベースのシステムでも高いセキュリティ機能を実現できる。患者情報などデータの保護が必要な医療システムなどにも適している」(説明員)と話す。
もう1つは、INTEGRITYとMULTIによる「ROS(Robot OS)」のサポートである。ロボット用ソフトウェアを開発するためのフレームワークであるROSは、主に既存のLinix上で動作する。GHSが、ROSのサポートを始めることによって、開発したソースコードのデバッグを一貫した環境で実行することが可能になる。
GHSが提供する開発環境を用いると、ソフトウェア開発者はLinux上で開発したプログラムをINTEGRITY上でデバッグできる。また、HiL(Hardware in the Loop)システムによるテスト環境も用意した。
この時、ROSプログラムを全てINTEGRITY上でデバッグしたり、一部のプログラムをHiLシステムに移植し、実機で動作検証したりすることが可能である。しかも、仮想Linux上で開発したROSプログラムをINTEGRITY上で実行することにより、機能安全規格の要件を満たしたソフトウェアとしてシステムに実装することができる。「ROSのデバッグ環境まで一貫してサポートしているツールベンダーはいない」(説明員)と主張する
この他、プログラムの実行状況をトレースできる「JTAGエミュレーター」なども紹介した。逆トレース機能を備えており、エラーが生じた時にはその原因となる箇所をさかのぼってチェックすることが可能である。内蔵のメモリカードに動作データを記録したり、遠隔地からエミュレーターをリモート操作したりすることもできるという。
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