Huaweiの「P30 Pro」を分解、3層PCBを採用:フラッシュセールは10秒で完売(2/2 ページ)
Huaweiは2019年4月12日(中国時間)、中国で最新スマートフォン「Huawei P30」と「Huawei P30 Pro」のフラッシュセールを実施したが、開始からわずか10秒で完売したという。Huawei P30/P30 Proの発売に伴って、さまざまな技術チームが分解レポートを最初に投稿しようと、先を争うように同製品の分解に取り掛かった。
4眼カメラの搭載
P30 Proの分解結果において何よりも注目すべきは、4眼カメラが搭載されているという点だ。この新型スマートフォンは文字通り、メインカメラと、広角カメラ、TOF(Time of Flight)カメラ、潜望鏡カメラの4つのカメラを搭載している。これら4つのカメラは全て、ソニーのCMOSイメージセンサーを搭載する。Elisabeth氏は、「ソニーが、全てのデザインウィンを獲得した」と述べる。
デュアルカメラモジュールは、通常のRGB構成ではなく、RYYB(Red、Yellow、Yellow、Blue)構成のフィルターを採用している。Elisabeth氏によると、メインカメラのイメージセンサーはRGB信号を送信するが、RYYBフィルターの方が、より多くの光を取り込むことが可能だという。
この他にも、P30 Proに関する注目すべき点は、ソニーのToFカメラを採用したことだ。Elisabeth氏は、「ソニーのToFカメラを採用したのはHuaweiが初めてではないが(中国のOPPOが既に採用済み)、同社はこのToFカメラを、AR(拡張現実)用途向けとしてだけでなく、オートフォーカス機能向けとしても採用している」と指摘する。
ToFカメラは、他の3つのカメラからの信号を処理することで、周囲の状況を正確に表示することが可能なため、ユーザーは特定の物体に焦点を絞ることができる。Elisabeth氏は、「ToFカメラがオートフォーカス機能向けとして使われるのは、今回が初めてだ」と強調している。
しかし、P30 Proに搭載されている全てのユニットのうち、最大の目玉といえるのは、潜望鏡だ。Huaweiは、CMOSイメージセンサーを垂直に配置し、反射鏡を45度の角度で背面に取り付けることで光路を拡大している。Elisabeth氏は、「Huaweiは今回、業界で初めて、10倍のズーム機能を、画質を低下させることなくスマートフォンに搭載することに成功した」と述べている。同氏は、「MWC(Mobile World Congress) 2018」(2018年2月26日〜3月1日、スペイン・バルセロナ)において、「OPPOは、5倍ズーム機能の試作版を披露したものの、まだ実用化には至っていない」と指摘している。
Elisabeth氏は、「どのメーカーが、潜望鏡カメラ向けモジュールの組み立てを手掛けているのか」とする質問に対し、「System Plusとしては、中国のSunny Optical Technologyが、イスラエルのCorephotonicsのIP(Intellectual Property)を使用して組み立てているとみている」と述べている。
またSystem Plusは、もう1つ注目すべき点として、SkyworksがHuaweiの主要なRFサプライヤーではなくなったことを取り上げている。P30 Proは、Qorvoの中帯域および高帯域フロントエンドモジュール「QM77031」を採用している。Skyworksは以前に、3つの異なる帯域幅要件に準拠すべく、3種類のフロントエンドモジュールを提供していたが、現在では、低帯域フロントエンドモジュール「SKY78191」のみを供給している。
System Plusが行ったP30 Proの分解結果について、メインボードに搭載されている部品を以下にまとめる。
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