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多眼化が進むスマホ、イメージセンサー市場はレッドオーシャンに?IHSアナリスト「未来展望」(16) 2019年の半導体業界を読む(4)(3/3 ページ)

IHSマークイットジャパンのアナリストが、エレクトロニクス業界の2019年を予測するシリーズの第4回。最終回となる今回は、イメージセンサー/カメラについて予測する。

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センサーの新しいアプリケーション

EETJ スマートフォン以外、例えばマシンビジョンや、その他の新しいアプリケーションについてはどうでしょうか。

李氏 マシンビジョンについては、まだ市場が小さいというのが正直なところだ。カメラのブルーオーシャンには、マシンビジョン、ドローン、車載、赤外線カメラ/紫外線カメラ、つまり人の目では見えない領域を見るカメラ、という4つの分野がある。ただ、市場規模がまだ小さいので、今のところはセンサーメーカー各社はスマートフォン1本足という感じだ。

 その中でも比較的大きいのは車載で、自動車1台当たりに約10個のカメラを搭載する方向のようだ。新車の世界販売台数を約1000万台とすると、出荷数は1億個くらい。ブルーオーシャンの中では、十分な市場規模が出てきたといえるだろう。

 もう一つ、注目すべき点として、計測や認証という新しい使い方が生まれている。ToF(Time of Flight)センサーによる測距や、「iPhone X/XS/XR」の顔認証がその一例だ。2019年は、このようなアプリケーションで使われるカメラが増えてくるだろう。顔認証はスマートフォンだけでなくPCにも導入されるとみられている。そうなれば、企業のPCなどを含め、一気に普及が加速する可能性もある。

 こうした背景から、イメージセンサーとカメラ、そしてその周辺は、2019年も勢いが続くとみている。

EETJ イメージセンサーの需給バランスについては、どうでしょうか。

李氏 非常にタイトなので、値引き交渉には一切応じていない。しかも、先ほどSamsungの例で述べたように、低画素のイメージセンサーでは値上げされ始めているという、他のデバイスでは考えられないような状況になっている。ただ、ハイエンドのイメージセンサーやカメラは、高性能のプロセッサと大容量のメモリが必ず必要になるので、今後2〜3年で、こうしたチップ市場にも影響を与えていくだろう。


「2019年の半導体業界を読む」に参加してくれた、IHSマークイットジャパンのアナリストの皆さん。左から、李根秀氏、日本調査部ディレクターの南川明氏、シニアアナリストの大庭光恵氏、同じくシニアアナリストの杉山和弘氏

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