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低電力FPGA、セキュリティやAI機能を強化スマートIoTデバイス向け

Lattice Semiconductor(ラティスセミコンダクター)は、セキュリティ機能を強化したFPGA「MachXO3D」と、エッジ製品にAI機能を搭載するための技術スタック「sensAI」新バージョンを発表した。

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新しいNIST PRFガイドラインに準拠

 Lattice Semiconductor(ラティスセミコンダクター)は2019年5月23日、セキュリティ機能を強化したFPGA「MachXO3D」と、エッジ製品にAI(人工知能)機能を搭載するための技術スタック「sensAI」新バージョンを発表した。


Ying Chen氏

 MachXO3Dは、従来の「MachXO3」とピン互換性を保ちつつ、セキュリティ機能を一段と強化しており、ハードウェアRoof of Trust(RoT)となるFPGAである。同社のアジアパシフィック地域事業開発担当ディレクターを務めるYing Chen(イン・チェン)氏は、「製造工程から運用、廃棄に至るまで、全ての製品ライフサイクルで、不正アクセスやデータ改ざんといったリスクから、システムを保護することができる」という。

 MachXO3Dは、NIST(アメリカ国立標準技術研究所)が2018年に発表した「SP 800 193」プラットフォームウェアレジリエンス(PRF)ガイドラインに準拠している。アクセス制御を通じてフラッシュメモリを保護したり、悪質なコードからの起動を暗号によって検出したり、改悪されたファームウェアを復元したりすることができる。これによって、システム全体のセキュリティ確保を可能とした。

 MachXO3Dの回路構成は、MachXO3と同様の「FPGAファブリック」に加え、ユニークIDや真の乱数生成機能などを備えた検証済み「セキュリティブロック」および、「2つのコンフィギュレーション格納領域」「ユーザーフラッシュメモリ」などをワンチップに集積した。これにより、これまでRoTマイコンと保護/制御用PLDを組み合わせて実現していたセキュリティ機能を、1個のMachXO3Dに置き換えることができるという。

MachXO3Dの外観とアーキテクチャ (クリックで拡大) 出典:ラティスセミコンダクター

新バージョンの性能は従来の10倍

 sensAIは、極めて少ない消費電力と部材コストで、エッジ製品側にAI技術を搭載するためのソリューションである。例えば、家庭や製造ライン、公共施設/商業施設などに設置されたカメラにAI機能を実装することで、クラウド側にデータを伝送することなく、人感検出や人数カウント、物体検出/カウントといった機能を、エッジ側で容易に実現することが可能となる。

 sensAIは、5つのスタックで構成される。同社製FPGAの「iCE40 UltraPlus」や「ECP5」を用いた「ハードウェアプラットフォーム」、推論処理を行う「ニューラルネットワークIPコア」、ニューラルネットワークコンパイラなどの「ソフトウェア開発ツール」、そして「レファレンスデザイン」および、「カスタム設計サービス」である。


sensAIスタックの概要 (クリックで拡大) 出典:ラティスセミコンダクター

 今回発表したバージョン2.0では、機能強化を図ったCNN(畳み込みニューラルネットワーク)IPと、8ビットアクティベーション量子化、デュアルDSPエンジン対応のニューラルネットワークコンパイラなどを用意した。この結果、「これまでのバージョン1.1に比べて、処理性能は10倍向上した。これにより、従来に比べてより大きな画素サイズを処理でき、消費電力を抑えることができる。ロジックサイズの小さい品種を選択することも可能になる」(Ying Chen氏)と話す。

 設計フローを改良することで、ユーザーの作業性も高めた。例えば、Kerasを含むニューラルネットワークと機械学習フレームワークのサポート拡充や、ニューラルネットワークトレーニング用の量子化と分数設定の自動化、トレーニングデータセットなどカスタマイズ可能なレファレンスデザインの提供による市場投入までの時間短縮、などを実現した。


カスタマイズ可能なレファレンスデザイン (クリックで拡大) 出典:ラティスセミコンダクター

 この他、FPGAやニューラスネットワークの設計からデータ収集まで、ユーザーのエッジAIデバイス開発を支援するエコシステムの拡充に取り組んでいることも強調した。

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