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豊田合成、縦型GaNパワー半導体で大電流実現:GaN結晶内に電流分散層を導入
豊田合成は、開発中の縦型GaN(窒化ガリウム)パワー半導体で、電流容量を100Aへ高めることに成功した。
半導体メーカーなどとの協業で早期実用化目指す
豊田合成は2019年5月、開発中の縦型GaN(窒化ガリウム)パワー半導体で、電流容量を100Aへ高めることに成功したと発表した。
GaNはシリコン(Si)に比べて10倍以上の耐圧性を持ち、損失が小さいパワー半導体を実現することができる。このため、自動車や産業機器、家電機器などでその応用が期待されている。
そこで同社は、青色LEDの材料であるGaNの結晶化技術を用いてパワー半導体の開発に取り組んできた。同社は基板に対して、電気を垂直に流す縦型構造を採用し、薄型と小型化による性能向上を実現してきた。
今回は新たに、GaN結晶内へ電流分散層を設けた。この結果、電流を耐圧維持層に広げることで抵抗値を下げ、従来50Aであった電流容量を、1チップで100Aまで高めることに成功した。
引き続き同社は、半導体や電機メーカーなどと協業し、高い性能と信頼性を実現したパワー半導体の早期実用化を目指す考えである。
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