技術者のEOL供給サービス利用促進を狙い体制強化:Rochester Electronics(2/2 ページ)
半導体デバイスのEOL品継続供給事業を手掛けるRochester Electronics(ロチェスター エレクトロニクス)は、日本での事業拡大に向け、電子機器設計技術者や品質管理担当者に向けたテクニカルサポート体制の強化を進めている。過去3年で3倍以上に増員してきた日本オフィスの人員をさらに増員する計画だ。
事業成長のカギはエンジニアへのテクニカルサポート
事業の“伸びしろ”として、位置付けるのがエンジニアや品質管理担当者だ。これまでの顧客の中心は、EOLの影響を直接受ける調達担当者だったが、エンジニアや品質管理担当者にも、同社の手掛けるEOL継続供給サービスの提供範囲を広げ、事業拡大を図るという考えだ。
内木場氏は「EOLの影響を直接受けるのは調達担当者だが、エンジニアや品質管理担当者も少なからず、EOLの影響を受けている。当社のEOL継続供給サービスを知ってもらえれば、その価値を理解してもらえる。実際に、そういった事例は徐々に増えている」と語る。
そして、「半導体製品のEOLに伴い品質管理担当者が今後の調達が不可能だと判断した場合、エンジニアに対し代替品の選定や再設計を指示することになる。ただ、エンジニア側でも代替品が見つからなかったり、再設計が間に合わなかったりで、どうしようもできない場合がある。そこで、エンジニアからEOL品を調達できないかどうか、と当社に相談される事例が増えている」という。
EOL品の多くは古い製品であり、その製品型番がどういったルールで付与されているか分からず、型番が全て一致するものだけを調達対象する場合が多い。だが、「実際には、型番が異なっても、梱包(こんぽう)形態や温度保証範囲が違うだけで、問題なく利用できる製品であることはよくある。正規代理店である当社は、型番やスペックを把握しており、そうした使用上問題がない代替品を提案できる。そのため、エンジニアからの相談を受けて、再設計を回避したということは少なくない。だからこそ、エンジニアや品質管理担当者に当社の認知を広めることができれば、一層の事業拡大が可能だと考えている」(内木場氏)と説明する。
事業拡大に向けオフィスを移転、Webも強化
エンジニアらのサービス利用促進を狙い、同社では、技術的要素を踏まえた代替品提案を行うテクニカルサポート体制を強化。実際に代替品提案など技術相談を受けるテクニカルセールスマネージャーの増員を進めている。2018年末には、日本オフィスの人員増に伴い、オフィスを移転、拡張。「さらに人員を増やせるスペースがあり、継続して人員増を図る」(内木場氏)という。
さらに販売代理店との連携を強めてチャネル販売強化や、2017年から日本オフィスにマーケティング専任担当者を配置し、Web中心にエンジニアらへの情報提供を強化中。
具体的には「2017年に日本語版Webサイトを本格的に立ち上げ、日本語での資料拡充を実施している。またWebに限らず、販売代理店とともに大手顧客を訪問したプライベート展示会の開催頻度を高め、接点強化を進めていく」(日本オフィス マーケティングマネージャー ストラウス久美子氏)としている。
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