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磁気抵抗メモリ(MRAM)の長所と短所福田昭のストレージ通信(149) 半導体メモリの技術動向を総ざらい(10)(2/2 ページ)

今回から磁気抵抗メモリ(MRAM)について解説する。まずはMRAMの構造と、長所、短所をそれぞれ説明しよう。

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MRAMの長所:高速性と開発企業の多さ

 MRAMの長所は、高速なアクセスである。特に書き込みが速い。NANDフラッシュメモリ、PCM、ReRAMと比べ、MRAMが優位な点だ。

 そして開発に携わっている企業が少なくないことも、MRAMの長所だろう。ベンチャー企業、シリコンファウンドリー企業、半導体メモリベンダーがMRAMの開発を手掛けている。


MRAMの長所と優位性。出典:MKW Venture Consulting, LLC(クリックで拡大)

MRAMの短所:記憶密度の低さと不透明なクロスポイント化

 MRAMの短所は、記憶密度が低いことだ。理論的にはメモリセルの面積は、設計ルール(F:Feature Size)の2乗の8倍で済む。しかし実際には、Fの2乗の50倍近い面積を必要とする。

 またMRAM製品の出荷数量では、トグル方式のMRAMが今でも大勢を占める。STT-MRAMは製品化されているものの、出荷数量がまだ少ない。

 記憶密度に関しては現在の1T1R方式では、将来もそれほど高くできない。しかも、クロスポイント化の行方が良く見えていない。MTJを含めた実用的な記憶素子の構造がPCMおよびReRAMの記憶素子に比べるとはるかに複雑であることが、その大きな理由である。3次元クロスポイント構造のMRAMが著名な国際学会や学会論文誌で試作発表された事例は、まだ見当たらないようだ。


MRAMの短所。出典:MKW Venture Consulting, LLC(クリックで拡大)

次回に続く

⇒「福田昭のストレージ通信」連載バックナンバー一覧

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