QualcommがSiFiveに出資、モバイルでRISC-Vを活用?:シリーズDで6540万ドルを調達(2/2 ページ)
Qualcommの投資部門であるQualcomm Venturesは、「RISC-V」ベースのコアIP(Intellectual Property)ベンダーであるSiFiveの最も新しい出資者だ。これは、Qualcommが、無線およびモバイルにおけるRISC-Vアーキテクチャの活用を模索していることを示す明確なシグナルだといえる。
IPベンダーは、顧客が契約しやすいようにすべき
筆者が最後にSherwani氏と会ったのは、2018年6月にドイツ・ミュンヘンで開催された「GSA 2018 European Executive Forum」の会場だった。同氏はこの時、「将来的に、誰もがもっと簡単に半導体チップの設計開発を手掛けられるよう、専門技術の必要性を低減していきたい」と述べていたが、以来その考えを貫いてきたようだ。同氏は、「当社は、半導体チップメーカーになりたいと考えている。トップクラスの半導体メーカーはいずれも、RISC-Vを開発、採用している他、既に当社への投資を行った企業もある」と述べる。
「顧客企業にイノベーションを実現してほしいと切に願っている。そのために当社ができるのは、クラウドデリバリーモデルを構築することで、誰でも参加して挑戦でき、何度も試せるようにすることだ。最終的には、当社がクラウドライセンスを販売し、顧客企業がそれぞれ何でも好きなように実行できるようにしたいと考えている」(Sherwani氏)
Sherwani氏は、「既存のIPライセンスモデルには、大きな問題がある。顧客企業がもっと簡単に契約できるようにするべきだ。例えば、当社は2019年5月に、コアの提供を打診してきた顧客企業との間で、5日以内に契約を締結している。評価版ライセンスではなく、署名による契約だ」と述べる。
また同氏は、「既存のIPシステムでは、もし一つのコアを少しだけ変更したり、他のものと交換したい場合などに、ビジネス交渉によって複雑な手順を踏まなければならない。こうした問題を、大幅に簡素化したいと考えている」と語った。
【翻訳:青山麻由子、田中留美、編集:EE Times Japan】
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