ルネサス呉社長が辞任、後任はCFO柴田氏:業績悪化の責任問われ
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2019年6月25日、社長兼CEOを務める呉文精氏が同年6月30日付で退任し、現取締役執行役員常務兼CFO(Chief Financial Officer)の柴田英利氏が7月1日付で新社長兼CEOに選任したと発表した。
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2019年6月25日、社長兼CEOを務める呉文精氏が同年6月30日付で退任し、現取締役執行役員常務兼CFO(Chief Financial Officer)の柴田英利氏が7月1日付で新社長兼CEOに選任したと発表した。
ルネサスは取締役会の任意の諮問機関として指名委員会を設置しているが、同委員会が、現在の業績悪化および中期的に設定した財務指標との乖離が大きくなっていることに対し、呉氏が今後の業績回復へ導く経営トップとして適任であるかを判断する評価を実施したという。その結果、呉氏が指名委員会の期待を満たしておらず、ルネサスの現況と競合他社の動向を踏まえると、早期のトップ交代が必要であると判断。6月25日に行われた取締役会で、指名委員会から社長兼CEOの交代を推奨する答申を受けた呉氏は、辞任を申し出たという。
後任となる柴田氏の選任については、指名委員会がこれまで2カ月にわたり協議を重ねてきたことも明らかにした。
呉氏は2016年6月に、ルネサスの社長兼CEOに就任。日本興業銀行(現みずほ銀行)、GEキャピタル・ジャパン、カルソニックカンセイCEO、日本電産副社長を務めた経歴を持つ。就任以降は、米Intersilや米IDTを買収するなどM&Aも積極的に行っていたが、業績は思うように伸びておらず、2019年4月以降に主要工場を停止することを発表して厳しい批判にさらされていた。
柴田氏は2013年10月に、産業革新機構(現INCJ)からルネサスの社外取締役に就任。2018年3月から現職。
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