「情報通信」「医療・生命科学」「モビリティー」「新たな技術と材料、市場」に注目:福田昭のデバイス通信(192) 2019年度版実装技術ロードマップ(3)(2/2 ページ)
JEITAが発行した「2019年度版 実装技術ロードマップ」について、「注目される市場と電子機器群」の分類と定義を紹介する。2019年度版では、大テーマが「情報通信」「メディカル・ライフサイエンス(医療・生命科学)」「モビリティー」「新技術・新材料・新市場」となっている。
「注目される市場と電子機器群」の分類と定義
そして本シリーズの前回で述べたように「2019年度版 実装技術ロードマップ」は、「個別機器と個別技術を起点にするのではなく、市場とアプリケーションを起点にし、必要な技術と課題、今後の方向性を描いた」(2019年度版実装技術ロードマップ本文2ページから)ものである。この考え方は、2015年度版の実装技術ロードマップから始まった。時宜を得た価値ある方向転換である。ただし、膨大な種類の市場とアプリケーションからロードマップに取り上げるテーマを選定する作業は、簡単ではない。しかもテーマを決めてから、実質的な作業に入る。こういった作業負担を想定すると、毎年1回の発行は不可能に思える。隔年1回の発行でも、ワーキンググループの負担はかなりのものだろう。
森将人氏は講演で、「注目される市場と電子機器群」の分類と定義が、2015年度版と2017年度版、2019年度版でどのように変化してきたかをスライドで示していた。2015年度版では「メディカル」「エネルギー」「モビリティー」の3つが大テーマとして挙げられた。2017年度版では3つの大テーマはそのままに、中身である中小のテーマを調整した。さらに、「新技術・新材料・新市場」を大テーマとして新設した。2019年度版では、大テーマを「情報通信」「メディカル・ライフサイエンス(医療・生命科学)」「モビリティー」「新技術・新材料・新市場」へと変更した。
前回(2017年度版)ロードマップは読者の4分の3が「良い」以上と評価
このような工夫を取り込んできた実装技術ロードマップは、読者からはどのように評価されているのだろうか。前回のバージョンである「2017年度版 実装技術ロードマップ」の読者アンケートでは、回答者の63.0%が「良い」、11.1%が「大変良い」を選択した。回答者の4分の3が「良い」以上の評価をしたことになる。また「不満」を選択した回答者はいなかった。
2015年度版の読者アンケートに比べると、「大変良い」の比率は減少したものの、「良い」と「普通」の比率が上昇し、「やや不満」と「不満」の比率は減少した。特に「やや不満」が10.7%(2015年度版)から3.7%と大きく減り、「不満」が3.6%(2015年度版)からゼロに低下したことは、高く評価すべきだろう。
(次回に続く)
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