90nmプロセスの多用途展開を加速するMaxim:パートナーに三重富士通とUMC(3/3 ページ)
Maxim Integratedは2019年7月19日、東京都内で報道関係者向け説明会を実施。90nmプロセスによる新たなアナログ/ミックスドシグナル半導体製造プラットフォーム「P90」などについて説明した。P90を用いた製造を三重富士通セミコンダクターとUMCで実施していることも公表。同社の製造部門を統括するシニアバイスプレジデント、Vivek Jain氏は「高品質な製品の製造を、極めてハイボリュームに対応できる体制が既に整っている」と語った。
自動車分野でもP90のソリューションを展開
この日は、Maximの自動車部門を統括するバイスプレジデント、Randall Wollschlanger氏も来日し、同社の自動車分野における戦略について語った。
Wollschlanger氏は、特にMaximが強みを持つ分野として、同社にとって自動車分野における最大の分野でもある「パワーマネジメント」をはじめ、EVやハイブリッド車に搭載する「バッテリーマネジメントシステム」や「ADAS」、ヘッドランプや車内の「LED照明」「USBポート」のソリューション、ディスプレイやカメラのアプリケーション向けに提供する「SerDes(シリアライザ/デシリアライザ)」の6つを挙げた(クリックで拡大)出典:Maxim Integrated
自動車関連市場のメガトレンドを紹介したWollschlanger氏は、「自動車関係のユーザーは、これまでスマートフォンで実現してきたユーザーインタフェースを自動車でも実現したいという要望があるが、Maximの技術は車載向けにもそのまま発揮できる」と語り、市場においては、「インフォテインメント関係がビジネスのベースとしては最大だ」と説明。そのうえで、「近年、急成長を遂げるテレマティクス、ADASや車両の電動化にも積極的に投資をしてきた」と述べた。
Wollschlanger氏は、「現在の自動車は車輪の上にデータセンターが載って走っている。電子部品のコンポーネント数が増え、複雑性も増している。また以前よりより大きなパワーも必要となり、高効率化が求められている」と述べたうえで、P90を用いたソリューションによって、LED照明のオペレーション効率の向上や、コールドクランクなど、過酷な環境にも対応する細かなパワーマネジメントにも対応が実現できると、その特長について説明。「P90のテクノロジーのプラットフォームを展開することで、これまでより早いスピードでマーケットのシェアを獲得できると確信している」と述べた。
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