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MEMS加速度センサー、高感度で低ノイズを実現:1μGレベルの検出が可能に
東京工業大学とNTTアドバンステクノロジの研究グループは、複数の金属層を積層した構造とすることにより、従来に比べ感度を100倍以上に高め、ノイズは10分の1以下に抑えたMEMS加速度センサーを開発した。
積層メタル構造で、面積当たりの重り質量増やす
東京工業大学とNTTアドバンステクノロジの研究グループは2019年7月、複数の金属層を積層した構造とすることにより、従来に比べ感度を100倍以上に高め、ノイズは10分の1以下に抑えたMEMS加速度センサーを開発したと発表した。1μGレベルの検出を可能にする。
研究グループはこれまで、金材料を用いてMEMS加速度センサーの重りを10分の1以下に小型化する技術を提案してきた。今回は、これらの実績をベースに、複数の金属を積層して重りやばねを形成、面積当たりの重り質量を増やした。
この結果、重り(可動電極)の質量に反比例する雑音(ブラウニアンノイズ)を低減することができた。さらに、重りの反りを抑え4mm角サイズの静電容量センサーを作製。試作した素子は同等サイズの従来センサーに比べて、感度は100倍も上回ることが分かった。従来の小型シリコンMEMS加速度センサーではこれまで実現できなかった、1μGレベルの検出を可能にした。
試作したMEMS素子は、半導体微細加工技術と電解金メッキ技術を用いて製造しており、一般的な集積回路チップ上に、今回開発したMEMS構造を形成することが可能である。研究グループは、人体行動検知機能を備えた医療・ヘルスケア機器やロボットの超精密制御と超軽量化および、自動航行制御システムといった用途での活用を視野に入れる。
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