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網膜に直接映像を投影、専用アイウェアCEATEC 2019

網膜投影型レーザーアイウェアの開発と販売を手掛けるQDレーザは「CEATEC 2019」(2019年10月15〜18日、幕張メッセ)で、最新モデルとなる「RETISSA Display(レティッサ ディスプレイ) II」を展示した。2018年に発売した初代モデル「RETISSA Display」の後継品となる。

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 網膜投影型レーザーアイウェアの開発と販売を手掛けるQDレーザは「CEATEC 2019」(2019年10月15〜18日、幕張メッセ)で、最新モデルとなる「RETISSA Display(レティッサ ディスプレイ) II」を展示した。2018年に発売した初代モデル「RETISSA Display」の後継品となる。


QDレーザの第2世代網膜投影型レーザーアイウェア「RETISSA Display II」(クリックで拡大)

 網膜投影型とは、文字通り、映像を網膜上に直接投影する技術。QDレーザは、弱くて細いレーザーをMEMSミラーで反射させ、網膜上に映像を直接投影する独自技術「VISIRIUMテクノロジー」を手掛けている。網膜に直接投影するので、ピント調整の役割を持つ水晶体に頼らなくとも、遠くの風景から手元の文字まで、クリアな映像を見ることができる。このVISIRIUMテクノロジーを搭載したアイウェアが、RETISSA Displayシリーズだ。


QDレーザの網膜投影技術「VISIRIUMテクノロジー」 画像:QDレーザ

 QDレーザによれば、「網膜投影素子は1980年代から研究されているが、アイウェアの形で製品化したのは当社が世界で初めて」だという。

 RETISSA Display IIは、前世代品に比べて水平視野角(26度)とアスペクト比(16:9)は同じだが、投影解像度が上がった。具体的には1024×600ピクセル(WSVGA相当)が1280×720ピクセル(720p)となり、これによって小さな文字でも読みやすくなっている。

 QDレーザによれば、「技術的には、レーザーとMEMSミラーが鍵だが、それをいかにアイウェアに搭載するかも大事なので、製品設計という観点では光学設計も肝になる」と述べる。

 RETISSA Displayは、スマートフォン大のコントロールボックスに接続して使用する。このボックスはインタフェースとしてHDMIと、給電用のUSB Type-Aを搭載している。RETISSA Display IIでは、このコントロールボックスにタッチパッドを取り付けられるようになっており、クリックやピンチの動作で拡大縮小ができるようになっている。

コントロールボックス(左)と、タッチパッドをコントロールボックスに取り付けたイメージ(クリックで拡大)

 同社は、「このように、コントロールボックスに取り付け可能な追加ユニットを開発することで、機能を拡張していく予定だ」という。「例えば、音声からテキストを起こす機能を内蔵したユニットを開発すれば、聞き起こしたテキストがディスプレイ上に表示されるので、ヒアリングエイド(補聴器)代わりに使える」(QDレーザ)

 VISIRIUMテクノロジーを採用するパートナー企業の1社が、有料多チャンネル放送「スカパー!」を展開するスカパーJSATだ。RETISSA Displayをチューナーにつなぐことで、視覚機能が弱いロービジョンの人でも視聴を楽しめるようにするサービスの開発に取り組んでいる。

 RETISSA Display IIの受注は、ちょうどCEATEC 2019の開幕日である同年10月15日に始まった。本体価格は1台24万8000円。一般向けには2020年2月から出荷を開始する予定だが、ビジネス向けには2019年内にもサンプル販売を開始し、順次、先行提供していく。

 「RETISSA Displayシリーズは、機械の力を借りて人間の見る能力を拡張するもの。全員が同じようにものを見られる“ユニバーサルな機器”という位置付けで開発や販売を続けていく」(QDレーザ)

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