負電圧出力対応のコイル一体型DC-DCコンバーター:高速光通信モジュールなど向け
トレックス・セミコンダクターは2019年11月21日、コイル一体型DC-DCコンバーターとして、負電圧出力タイプの新製品「XCL303/XCL304シリーズ」の量産を開始したと発表した。負電圧出力が必要で、電源ICの小型化要求が強い高速光通信モジュールなどの用途に向ける。
トレックス・セミコンダクターは2019年11月21日、コイル一体型DC-DCコンバーターとして、負電圧出力タイプの新製品「XCL303/XCL304シリーズ」の量産を開始したと発表した。負電圧出力が必要で、電源ICの小型化要求が強い高速光通信モジュールなどの用途に向ける。
最大出力電流300mAに
新製品は、同社のコイル一体型DC-DCコンバーター製品群「micro DC/DC」の一つ。micro DC/DCには、DC-DCコンバーターチップとコイルを同一パッケージ内に封止するタイプなどさまざまな構造の製品が存在するが、新製品のXCL303/XCL304シリーズは、DC-DCコンバーターチップを封止したパッケージ上にコイルをかぶせた「ポケットコイル型」と呼ぶ独自構造を用いている。同構造は、コイルを外付けする場合よりも大幅に実装面積を縮小できるほか、DC-DCコンバーターの輻射ノイズをコイルがシールドするため、一般的なDC-DCコンバーターに比べ、輻射ノイズを低減できるという特長がある。
これまでmicro DC/DCの負電圧出力品として、最大50mA出力対応品(XCL301シリーズ)を展開していたが、XCL303/XCL304シリーズは、最大出力電流を300mA(3.3V入力、−3.0V出力時)にまで強化したもの。「従来製品は、負電圧の電源を必要とする高速な光通信モジュールを中心に採用が進んでいたが、一部ユーザーからは、100mAを超える電流に対応してほしいという要望が寄せられ、そうした声に応えて開発した」(同社)という。
実装面積を大幅縮小&低ノイズ
XCL303/XCL304シリーズのサイズは2.5×2.0×1.0mm。スイッチング周波数は2.5MHzで、DC-DCコンバーターを構成するアンプ回路を工夫し、小型の入出力コンデンサーを採用できるようにした点も特長。同社では「コイル外付けの従来型DC-DCコンバーターを使用した場合に比べ、電源回路実装面積を78%削減できる」としている。
入力電圧範囲は2.7〜5.5V。出力電圧範囲は−6〜−1.2Vで外付け抵抗で設定できる。「従来、負電圧として用いられるケースが多かったチャージポンプ式コンバーターは、入力電圧が変動した場合、出力電圧も変動した。新製品は、スイッチング方式であり、入力電圧の変動にも出力を一定に保てる」(同社)。なお、XCL303/XCL304シリーズのうち、XCL303シリーズはPWM制御で動作し低ノイズを重視する用途向け。XCL304シリーズは、軽負荷時に変換効率を高めることができるPFM制御とPWM制御の自動切り替え制御対応品で、軽負荷時の効率を重視する用途に向ける。
サンプル価格は1個300円(税別)となっている。
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