ローム、高効率で低消費電力の昇降圧電源IC:待機時には1.53倍も電池が長持ち
ロームは、電力変換効率が高く消費電流も極めて小さい昇降圧DC-DCコンバーターIC「BD83070GWL」のサンプル出荷を始めた。
電力変換効率は最大97%、消費電流は2.8μAを実現
ロームは2019年7月、電力変換効率が高く消費電流も極めて小さい昇降圧DC-DCコンバーターIC「BD83070GWL」を開発したと発表した。小型電池による長時間動作が求められるIoT(モノのインターネット)機器やスマートフォンなどの用途に向ける。
BD83070GWLは、0.13μmのBiCMOSプロセスを用いた低損失のMOSFETを内蔵した。このため、動作する機器の負荷電流が200mAの場合、電力変換効率は97%を達成した。軽負荷(100μA)から最大負荷(1A)においても、90%以上の効率を実現している。例えば、スタンバイ状態(負荷電流100μA)では、従来製品に比べて1.53倍も電池の使用時間を長持ちさせることができるという。さらに、独自の制御技術「X Ramp PWM制御」を搭載したことで、入力電圧に対して昇/降圧が切り替わる時も、シームレスな昇降圧遷移を実現した。
低消費電流回路や負荷に応じてスイッチ制御を最適化する技術などを駆使することで、消費電流を2.8μAに抑えた。「昇降圧電源ICでは業界トップクラスの低消費電流」だという。
BD83070GWLは、入力電圧が2.0〜5.5V、出力電圧は2.5Vと3.3V、最大出力電流は1000mA、動作周波数は1.5MHzである。パッケージは外形寸法が1.2×1.6mmのUCSP50L1Cで供給する。
2019年4月よりサンプル出荷を始めており、2019年10月より当面月産100万個体制で量産を開始する予定。サンプル価格(税別)は300円。BD83070GWLを搭載した評価ボード「BD83070GWL-EVK-001」の販売も始めた。チップワンストップ、コアスタッフオンライン、アールエスコンポーネンツのウェブサイトより購入できる。
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