小型・薄型・低コストのパッケージを実現する組み立て技術:福田昭のデバイス通信(216) 2019年度版実装技術ロードマップ(27)(2/2 ページ)
今回から、パッケージの組み立てプロセスの技術動向を紹介する。まずは、QFN、BGA、WL-CSP、FO-WLPの組み立て工程を取り上げる。
QFN、BGA、WL-CSP、FO-WLPの組み立て工程
QFNの組み立てフロー(組み立て工程)は以下のように進む。回路を作り込んで検査を完了したウエハー(完成ウエハー)の裏面をまず研削する(裏面研削)。次にダイヤモンドブレードによって完成ウエハーを個別のダイ(チップ)に切り分ける(個片化)。それからダイの裏面をリードフレームに接着する(ダイボンディング)。続いてパッケージの電極とダイの電極を金属ワイヤ(Auワイヤなど)によって結線する(ワイヤボンディング)。それから全体を樹脂で封止する(樹脂封止)。1枚のリードフレームは数十個のチップを搭載するので、樹脂封止も数十個のチップを一括して実施する。最後に樹脂封止したパッケージを1個ずつ切り分け(個片化)、テスト工程に回す。
FBGA/BGAの組み立てフローは以下のようになる。完成ウエハーを裏面研削して個片化するまではQFNと同じである。次にパッケージ基板(多層樹脂基板)にダイの裏面を接着する。続いてダイの電極とパッケージ基板の電極を金属ワイヤによって結線する。1枚のパッケージ基板には数十個〜数百個のダイが載っている。この全体を樹脂で封止する。次にパッケージ基板の裏面(底面)に、はんだボールを搭載する。それから個別のパッケージに切り分け、検査工程に回す。
WL-CSPとFO-WLPの組み立てフローは以下のように進む。WL-CSPは完成ウエハーのままでパッケージを作製する。FO-WLPは完成ウエハーを個片化し、ダミーウエハーにダイを再配置してからパッケージを作製する。以下の工程は、両者でほぼ同じである。まずウエハーに下地絶縁膜と銅の再配線層を形成する。続いて封止絶縁膜と電極を作る。次に、はんだボールを搭載する。それから個別のパッケージに切り分ける。
FO-WLPの組み立てには、詳細の異なる複数の技術が存在する。次回は組み立てフローの異なる、いくつかのFO-WLP組み立て技術を説明する予定だ。
(次回に続く)
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