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Intel、極低温で動作する量子制御チップを発表開発コードは「Horse Ridge」

Intelは2019年12月、量子制御チップ「Horse Ridge(開発コード名)」を発表した。Horse Ridgeは、フルスタックの量子コンピューティングシステムの開発を加速させるために設計された、極低温域で動作するプロセッサである。

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 Intelは2019年12月、量子制御チップ「Horse Ridge(開発コード名)」を発表した。Horse Ridgeは、フルスタックの量子コンピューティングシステムの開発を加速させるために設計された、極低温域で動作するプロセッサである。

 量子コンピュータは、最適化問題など、特定の処理については既存のコンピュータよりも大幅に高速な処理が可能だ。


Intelが発表した「Horse Ridge」を掲げるIntel Labsの主席エンジニア、Stefano Pellerano氏 画像:Walden Kirsch/Intel Corporation

 量子コンピューティングの開発当初、科学者が最も注力したのが量子ビット(キュービット)の実現だった。通常のビットは「0」か「1」のどちらかの状態しか表せないが、量子ビットは、2つ以上の状態を同時に表すことができる(重ね合わせ)。現在、Intel以外にも複数の組織が、電子スピンの特性を活用したシリコン量子プロセッサの開発に取り組んでいる。

 量子コンピュータは同時に多くの計算を実行できるが、その際に過剰な熱が発生する。このため、効果を発揮するには、絶対零度に近い温度(−273.15℃に非常に近い温度)で稼働する必要がある。

 量子コンピュータ(多くの場合カスタム設計されている)は、量子プロセッサを制御する極低温冷蔵庫から張り出された数百本のケーブルが必要になるため、多くの量子コンピューティングシステムは、ケーブルが四方八方から飛び出し、まるでスチームパンク(SFの一種)に出てきそうな奇妙マシンのようだ(図1)。


図1:Googleの量子コンピュータ

 研究者たちは量子コンピュータの開発にしのぎを削っている。Intelは量子ハードウェア開発の初期段階でテストと特性評価を行う中で、商用規模の量子処理の実現を阻む重大なボトルネックを特定した。それは、相互接続と制御エレクトロニクスである。

 Horse Ridgeは、オランダのデルフト工科大学(TU Delft)とオランダ応用科学研究機構(TNO: Netherlands Organization for Applied Scientific Research)が共同設立した先端研究センターであるQuTechの研究者と共同で開発され、Intelが同社最大の研究所を置く米国オレゴン州の中で最も寒い場所の1つにちなんで名付けられた。シリコン量子コンピュータは一般的なCMOS半導体プロセスを適用して製造できるため、量子コンピュータの開発競争においてはシリコンの実装に多くの労力が割かれている。Horse Ridge(Intelの22nm FinFETプロセスを適用)は、Intelの商用向け量子コンピュータの設計やテスト、最適化を飛躍的に前進させると期待される。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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