車載と無線がアルミ電解コンデンサの耐熱性向上を要求:福田昭のデバイス通信(226) 2019年度版実装技術ロードマップ(36)(2/2 ページ)
今回は、大容量で低コストという特長を持つアルミ電解コンデンサを解説する。アルミ電解コンデンサの分類と、車載および無線分野におけるアルミ電解コンデンサの要件を紹介しよう。
アルミ電解コンデンサの形状による分類
アルミ電解コンデンサはその外形寸法によって小型と大型に分けられる。基本的な形状は円筒形である。小型のアルミ電解コンデンサにはチップ形(表面実装型)とリード形(挿入実装型)がある。チップ形には樹脂モールドタイプと円筒ケースタイプがあり、いずれもリフローハンダ付けに対応する。大きさはチップ形が直径で4mm〜18mm、リード形が直径で4mm〜25mmである。
大型のアルミ電解コンデンサには、基板自立形(スナップイン形)とネジ端子形がある。基板自立形(スナップイン形)はプリント基板に取り付けるタイプの端子を備える。大きさは直径で20mm〜40mmである。ネジ端子形はその名称の通り、ネジ(六角ネジが多い)で取り付けるタイプの端子を備える。大きさは直径で35mm〜100mmである。
車載電装と無線通信が開発をけん引
アルミ電解コンデンサの開発をけん引していたのは、かつては民生機器だった。最近は車載電装品が開発を主導しており、さらには無線通信機器が加わりつつある。
車載電装品向けのアルミ電解コンデンサに要求される項目には主に、高温対応(150℃対応)と振動対応がある。高温対応では封口ゴムの耐熱性向上、電解液による蒸散の抑制、電解紙の耐熱性向上によって150℃対応品が開発されている。
振動対応では、表面実装型では台座の側壁を高くするとともに補助端子を設けてプリント基板との密着性を高めた製品が、挿入実装型では外装ケース側面に溝を設けてケース内部の振動を抑制した製品が開発された。民生用では振動の最大加速度として10G(10Hz〜55Hz)を保証する。車載電装用では許容可能な最大加速度として30G(10Hz〜2kHz)を保証する製品が登場している。
無線通信機器向けのアルミ電解コンデンサに要求される項目には、小型化、リフローハンダ付け耐熱性向上(実装基板の熱容量増大)、低温対応(寒冷地対応)、長寿命がある。
例えばリフローハンダ付けでは、基地局用電源基板が搭載する大型の表面実装部品を高密度に実装するため、電源基板の熱容量が増大している。従来のリフローハンダ付け条件(推奨条件)では、信頼性の高いハンダ付けが難しくなってきた。従来の推奨条件は、217℃を超える時間が30秒以内、ピーク温度240℃以下、230℃を超える時間が20秒以内、リフロー回数が2回以下であった。それが耐熱性を高めた推奨条件では、217℃を超える時間が70秒以内と2倍強に延び、ピーク温度は245℃以下に上がり、240℃を超える時間が20秒以内と温度が上昇し、リフロー回数が3回以下と増加した。アルミ電解コンデンサを含めた表面実装部品全体に対する耐熱性の向上が要求されている。
(次回に続く)
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