「ネット商社の重要性高まる」、日本でも好調なマウザー:自動化に注力した新倉庫も建設中(2/2 ページ)
半導体/電子部品のディストリビューターMouser Electronics(以下、Mouser)の日本法人マウザー・ジャパンは2020年2月4日、記者説明会を開催し、2019年の業績について説明した。
自動化を進める新倉庫
Mouserは米国テキサス州ダラスに倉庫を保有していて、そこから全世界に部品を発送している。現在は、同じ敷地内に新しい倉庫の拡張を進めているさなかだ。新倉庫では、自動化に力を入れている。勝田氏は「現在は、部品をピックアップするところを人手に頼っているが、そこを自動化できれば効率化につながる」と説明する。ただし、「発注してから出荷までのリードタイム」が、現在の平均15分からどのくらい短縮されるかについては、まだデータが出ていないという。自動化システムは新倉庫でテストを行っており、実際の稼働は2020年第2四半期を予定している。
新倉庫では、ロボットで製品をピックアップする自動化を進めている。ロボット(画像内のオレンジ色の物体)の下には、部品を保管しているトレイが多数並んでいて、ロボットが下がっていって部品をピックアップし、ベルトコンベヤーに載せるという 出典:マウザー・ジャパン(クリックで拡大)
ディストリビューターを取り巻く環境の変化
エレクトロニクス/半導体のディストリビューターを取り巻く環境は変化しつつある。2019年7月には、Texas Instruments(TI)が国内外で代理店のリストラを決行すると発表した。
TI以外の半導体メーカーや部品メーカーでもこうした動きが出てくるのかどうかは現時点では不明だが、これについて勝田氏は「部品が入手しにくくなって最も困るのは設計者だ。われわれは、設計者が困ることがないよう、状況を見ながら対応していく」と述べた。
さらに、中国・武漢で発生した新型コロナウイルスによる影響についても、「サプライチェーンへの影響を含め、Mouser本社の経営陣も非常に懸念している。現在、対策などを話し合っていると思われるが、日本法人への具体的な指示は、まだ来ていない」と語った。
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