Intel、NervanaのAIチップ開発を打ち切りへ:Habanaにリソースを移行
漠然とではあるが推測されてきた通り、IntelがNervanaのデータセンター向けAI学習用チップ「NNP-T」ならびに推論チップ「NNP-I」を打ち切った。最近買収したHabana Labs(以下、Habana)のチップ「Gaudi」と「Goya」の方を選択したとみられる。
漠然とではあるが推測されてきた通り、IntelがNervanaのデータセンター向けAI学習用チップ「NNP-T」ならびに推論チップ「NNP-I」を打ち切った。最近買収したHabana Labs(以下、Habana)のチップ「Gaudi」と「Goya」の方を選択したとみられる。
EE Timesにメールで送られてきた声明の中で、IntelはNervanaのデータセンター向けNNP-T(開発コード名:Spring Crest)の開発を中止すると述べた一方、NNP-I(同、Spring Hill)については既存顧客を気遣い、“顧客からのフィードバック”に従うとした。
さらにIntelは、「2019年12月にHabanaを買収し、顧客からの情報提供を受けて、われわれはデータセンター用AIアクセラレーターのロードマップを戦略的にアップデートした。AIの人材と技術を組み合わせて活用することで、業界を主導するAI製品を開発する。IntelのAIハードウェアとAIソフトウェアのイノベーションを用いて、既存ならびに次世代のGoyaとGaudiを強化する」と述べた。
「Habanaの製品ラインは、推論と学習の両方に向けた、高度にプログラマブルな統一アーキテクチャという強固な戦略的優位性をもたらす。データセンター用AIアクセラレーターに向けた単一のハードウェアアーキテクチャとソフトウェアスタックに移行することで、当社のエンジニアリングチームは協力し、顧客に対してさらなるイノベーションをより早く届けられるようになる」(Intel)
2020年1月、IntelはHabanaの買収を20億米ドルで完了した。Habanaは、推論ベンチマークスコア「MLPerf」の最新ラウンドで驚異的な結果をたたき出した。Habanaの成果は一部のカテゴリーでNVIDIAに次いで第2位となり、Intelの顧客は注目しているようだ。
Habanaのキーテクノロジーは、オンチップRoCE(Remote direct memory access over Converged Ethernet)だ。競合のソリューションでは、そのために追加のチップが必要となる。NVIDIAはまさにその技術のために68億米ドルで、高性能ネットワーキングを手掛けるMellanoxを買収した。オンチップRoCEを手に入れれば、急速に拡大するニューラルネットワークモデル市場の規模に見合うレベルのスケーラビリティを生み出すことができる。
Nervanaは独立したビジネスユニットとして残る
完全にIntelに取り込まれたNervanaとの戦略とは対照的に、Habanaは同じマネジメントチームが率いる独立したビジネスユニットとして残る予定だという。
また、Intelは発表の中で、Movidiusのロードマップを変更することはないと述べた。Movidiusは、ドローンなどのアプリケーションに搭載されるコンピュータビジョン向けの超低消費電力AIアクセラレーターを開発している。Intelは、旧AlteraのFPGAに加え、「Xeon」シリーズでもCPUアクセラレーターを提供しているが、いずれもデータセンターをターゲットにしたものである。また、同社は、汎用GPU(Xe)の開発にも取り組んでおり、2020年後半の発表が見込まれている。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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