NVIDIAの「Jetson Xavier NX」、性能は10Wで14TOPS:クレカサイズの新AIボード
NVIDIAは2019年11月6日(米国時間)、新しいAI(人工知能)ボード「Jetson Xavier NX」を発表した。同社のシングルボードコンピュータ「Jetson Nano」のフォームファクタ(70x45mm)で、「Jetson AGX Xavier」と同等の計算能力を備える。
「Jetson」の新製品
NVIDIAは2019年11月6日(米国時間)、新しいAI(人工知能)ボード「Jetson Xavier NX」を発表した。同社のシングルボードコンピュータ「Jetson Nano」のフォームファクタ(70x45mm)で、「Jetson AGX Xavier」と同等の計算能力を備える。Jetson Xavier NXボードは、10〜15Wの間で動作し、性能は10Wで14TOPS(INT8)、15Wで1TOPS(INT8)に達するという。同社によると、この処理能力によって、複数のニューラルネットワークを並行して管理し、複数の高解像度イメージセンサーのデータを同時に処理することが可能になるという。
Jetson Xavier NXボードは、「CUDA」コア384基と「Tensor」コア48基、NVIDIAのディープラーニングアクセラレーター2基を搭載した「Volta」アーキテクチャのGPU AIアクセラレータを特長とする。同ボードのCPUは、NVIDIAの6コア64ビットArm CPU「Carmel」である。
Jetson Xavier NXは、ロボット工学などの組み込みアプリケーション向けの「Jetson AGX Xavier」(最大32TOPS)と、0.5TFLOPS(FP16)の性能を提供するJetson Nanoを組み合わせている。Jetson Xavier NXは、同ファミリーの既存製品である「Jetson TX2」よりも小型で、Jetson TX2と同等の消費電力で大幅に高い性能(最大15倍)を実現したという。
米国の市場調査会社であるMoor Insights&Strategyでプレジデント兼主席アナリストを務めるPatrick Moorhead氏は、「Jetson Xavier NXは、Jetson TX2とJetson AGX Xavierの中間的な市場で必要とされる製品である。多くのセンサーを必要とするデバイスに最適で、バッテリー駆動の高性能ドローンにも適している。最大の利点は、膨大な量の推論に対応した性能と、成熟したツールチェーンだ。パワーエンベロープでも、これほどの機械学習性能を持つものはない」と述べている。
NVIDIAの自律マシン部門でバイスプレジデントを務めるRob Csongor氏は、「これは世界最小のAIスーパーコンピュータだと自負している。小型でありながらJetson AGX Xavierレベルの性能を実現している」と述べている。
NVIDIAが想定する用途は、10〜15Wの電力の利用が可能な組み込みアプリケーションやロボティクスアプリケーションなどである。具体的には、複数のカメラストリームの処理が必要な小型の商用配達ロボットやドローン、ロジスティクス(物流)市場や生産市場の高解像度センサーなどのロボットアーム、限られた範囲のビデオ分析システム、医療機器などのハンドヘルドイメージングデバイスなどである。
Csongor氏は、「市場には、サイズを拡張せずに性能を向上させる必要性のある、非常に重要な特定セグメントがある。同セグメントでは、消費電力の増加も許容されない。つまり、これらの制約内で多くの性能を提供できなければ、用途が制限されてしまう。Jetson Xavier NXは、同セグメントに最適な製品だ」と述べている。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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