日本TI、高電力密度の絶縁型DC-DCバイアス電源:小型形状でEMI性能を最適化
日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は、小型パッケージを採用した絶縁型DC-DCバイアス電源として2製品を発表した。
独自の統合トランス技術を採用
日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は2020年2月13日、小型パッケージを採用した絶縁型DC-DCバイアス電源として2製品を発表した。低EMI(電磁妨害)を維持しつつ、容積は個別半導体を用いた場合に比べ最大80%も削減可能で、電力効率は競合製品の2倍を実現したという。
TIが独自の統合トランス技術を用いて開発した、絶縁型電源の第一弾となる。今回発表したのは、出力電力が0.5Wで、強化絶縁が5000Vrms、動作電圧が1200Vrmsの「UCC12050」と、基本絶縁3000Vrms、動作電圧800Vrmsの「UCC12040」である。2製品とも入力電圧は4.5〜5.5V、出力電流は最大0.1A、出力電圧は3.3〜5.4Vとなっている。動作温度範囲は−40〜125℃と広い。
UCC12050は、電源段や整流器、トランスなどをワンパッケージにした製品。外形寸法は10.3×10.3×2.65mmの16端子SOICパッケージで供給する。TI高電圧パワー部門高電圧コンバーター製品ビジネスリードのRyan Manack氏は、「新製品は指先に乗るパッケージサイズだが、同等の機能を個別半導体で実現すると、指1本分の大きさになる」という。電源モジュールと比べても容積を60%削減している。
電力変換効率は60%で、同等サイズの競合製品に比べると2倍である。電力密度も同等の絶縁電源モジュールに比べて2倍になるという。沿面距離と空間距離はそれぞれ8mm。コモンモード過渡耐性(CMTI)は±100V/ナノ秒を達成した。
EMI性能も最適化した。UCC12050は、1次/2次間の容量がわずか3.5pFと極めて小さいトランスと、低ノイズの制御方式を用いて開発した。これにより、2層プリント配線板の設計も、余裕をもってCISPR32クラスBのEMI認証試験をクリアすることが可能だという。これまで、EMIの認証を受けるために外付けしていたLDOやフェライトビーズなどを用いる必要もなくなった。
参考価格(1000個購入時の単価)は、UCC12050が3.90米ドル、UCC12040が3.15米ドルからとなっている。
なお、UCC12050を搭載した評価モジュール「UCC12050EVM-022」も用意している。このモジュールを用いると、選択可能な全ての出力電圧について、容易に検証することが可能となる。評価モジュールの価格は99米ドルで、TIのウェブサイトから購入することができる。
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