2020年は“ローラブルディスプレイ元年”に?:ディスプレイ産業フォーラム 2020(4/4 ページ)
市場調査会社であるIHS Markit(テクノロジー系の大部分をInfoma Techが買収し、現在移管中である)が2020年1月30〜31日に、東京都内で「第38回 ディスプレイ産業フォーラム 2020」を開催。今回は、FPDの新しい技術についてまとめる。
2020年が“元年”に? ローラブルOLED
Kang氏は、「2019年は折りたたみOLEDの元年だったが、2020年はローラブルOLEDの元年となるかもしれない」とも語った。
ローラブルOLED、つまり“巻ける”OLEDは数年前から「CES」などの展示会では複数のメーカーが披露している。2019年11月にはシャープとNHKが、“巻けるTV”に応用可能な30型フレキシブルOLEDを開発したと発表。韓国LG Electronicsは、ローラブルな65型4K OLED TVを2020年にも出荷する予定だ。このTVは当初、2019年に出荷を開始する予定だった。価格は6000米ドル前後になるといわれている。ただしKang氏は、同TVについて「ガラス基板を採用することになっていたが、まだ歩留まりが低く、価格が高いので出荷は限定的になるだろう」との見解を示している。
LG以外は、まだ開発段階だ。用途としてはTV、モニター、車載、タブレットなどが有望市場だが、「ディスプレイを保護するソリューションについては、折りたたみディスプレイと同じ問題を抱えている」とKang氏は指摘する。つまり、内側に巻くか、外側に巻くかで適した方法が異なる。Kang氏は製造プロセスについても、「まだまだ最適化する必要がある」と述べた。
IHS Markitは、ローラブルOLEDの市場について、2019年から2026年にかけて年平均成長率167.8%で成長し、2026年には130万台に達すると予測している。
折りたたみ、ローラブルを含め、フレキシブルOLEDの市場は、まだ始まったばかりだ。材料、構造、製造プロセスの全てにおいて開発と最適化が今後も必要だが、フレキシブルという特性を生かした面白いアプリケーションが出てくることを期待したい。
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