Dialog Semiconductor、5億米ドルでAdesto買収へ:IIoT市場での拡大を加速
Dialog Semiconductor(以下、Dialog)は2020年2月20日(現地時間)、Adesto Technologies(以下、Adesto)を5億米ドルで買収する予定だと発表した。これによりDialogは、過去12カ月間でIoT(モノのインターネット)関連企業の買収を3回行ったことになる。
Dialog Semiconductor(以下、Dialog)は2020年2月20日(現地時間)、Adesto Technologies(以下、Adesto)を5億米ドルで買収する予定だと発表した。これによりDialogは、過去12カ月間でIoT(モノのインターネット)関連企業の買収を3回行ったことになる。
Appleへの依存度下げ、IIoT市場での立場強化
Dialogは、「Appleに対する依存度を下げるための取り組みの一環として、今回Adestoを買収することにより、当社の産業ポートフォリオが強化される。そして、スマートビルディングやIndustry 4.0(インダストリー4.0)などを実現するとして成長の一途にあるIIoT(インダストリアルIoT)市場での拡大を加速できる」と述べている。Adestoは、米国カリフォルニア州サンタクララに本社を置き、従業員数は約270人。スマートビルディングオートメーション向けにインダストリアルソリューション関連のポートフォリオを有しており、Dialogは、今回の買収によって製造オートメーション製品を補完できる。Adestoのソリューションは、産業やコンシューマー、医療、通信など、幅広い市場に浸透している。
DialogのCEOを務めるJalal Bagherli氏は、「今回のAdesto買収により、IIoT市場における当社の立場をより一層強化することができる。Adestoのポートフォリオは、当社が2019年に買収した企業の1つであるCreative Chipsの製品ラインを補完することが可能だ」と述べる。
Dialogの企業開発/戦略部門担当シニアバイスプレジデントを務めるMark Tyndall氏は、DialogのIoT戦略の進捗状況や、合併後のAdestoの位置付けなどに関するEE Timesの質問に対し、「われわれは、以前に買収したCreative ChipsとFlipChip International(FCI)を足場とすることにより、特にBluetooth Low Energy(BLE)やWi-Fi接続などを必要とするIoTアプリケーションの分野において、順調に取り組みを進めている。今回のAdesto買収により、これまで以上に優れたソリューションを顧客企業に提供できるようになる。2020年における当社のPMIC(パワーマネジメントIC)やBLE、オーディオICなどの製品の出荷数量は、Adestoが専業とする低消費電力メモリ製品を、ヒアラブル機器やウェアラブル機器、タグ、近接センサーなどの汎用アプリケーションに搭載することにより、1億個に達する見込みだ」と述べている。
また同氏は、「今回の発表はまだ最初の段階であるため、現時点でAdestoの統合に関する詳細について明示するには時期尚早だといえる。とはいえ、Industry 4.0によって生み出される大規模な需要に対応していく上で、Adestoの高度かつ補完的な設計およびエンジニアリング技術を得られることを、非常にうれしく思っている」と述べる。
さらに同氏は、「合併後の新会社は、供給の変化による効率向上や、一般的な企業貯蓄などにより、最初の1年以内に約2000万米ドルのコスト相乗効果を見込める予定だ。さらに、売り上げの相乗効果もかなり期待できる。例えば、Adestoが提供するビルディングオートメーション分野のクラウドコネクティビティを、当社のファクトリーオートメーション分野の製品と抱き合わせ販売することにより、売り上げの相乗効果を高められると考えている」と述べる。
2020年第3四半期末に完了する予定のこの買収によって、Dialogはインダストリアルコネクティビティ、スマートメータリング、ビルディングオートメーション分野において5000以上の新規顧客にアクセス可能になるだろう。両社の補完的な製品は、Adestoの低消費電力メモリ製品をDialogのBLEおよびWi-Fi接続と真のワイヤレスステレオ(TWS)オーディオICと組み合わせることにより、ウェアラブル、ヒアリングおよびその他IoTアプリケーション向けのフルシステムソリューションを実現する。また、Dialogは、「Dialogの確立された車載向け製品の製造およびテストフローを用いてAdestoのメモリ製品を認証することで、車載市場での将来的な成長への道も開くだろう」と述べている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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