ArmとRISC-V、両輪で製品拡充を目指すGigaDevice:embedded world 2020
中国・北京に拠点を置くファブレス半導体メーカーGigaDevice Semiconductor(以下、GigaDevice)は、ドイツ・ニュルンベルクで開催中の「embedded world 2020」(2020年2月25〜27日)で、フラッシュメモリやマイコンなど同社の製品を搭載したデモや評価ボードを展示した。
中国・北京に拠点を置くファブレス半導体メーカーGigaDevice Semiconductor(以下、GigaDevice)は、ドイツ・ニュルンベルクで開催中の「embedded world 2020」(2020年2月25〜27日)で、フラッシュメモリやマイコンなど同社の製品を搭載したデモや評価ボードを展示した。
GigaDeviceは2004年、NAND型フラッシュメモリのメーカーとして米国に設立され、翌2005年に中国に本社を移した。ファウンドリーに、より近い場所の方がいいと考えたからだと、同社AME Marketing担当ディレクターを務めるShaun Fong氏は述べる。2013年ごろには、フラッシュメモリだけでなくArmベースの32ビットマイコン事業にも手を広げた。「Cortex-M3/M4/M23」コアを搭載した汎用マイコンとして、「GD32シリーズ」のブランド名で展開している。
さらに2019年には、GD32シリーズに、RISC-Vの命令セットアーキクチャを使用した新しいマイコン「GD32VF103」を追加した。「RISC-Vベースの32ビットマイコンを市場に投入したのは当社が初めて」とFong氏は述べる。GD32VF103の動作周波数は最大108MHz。フラッシュメモリの容量が異なる(16K〜128Kバイト)14品種をラインアップしている。産業機器から民生機器、IoT(モノのインターネット)機器、エッジコンピューティングまで幅広い用途に向ける。
GD32VF103に対する顧客の関心は非常に高いという。とはいえ、Armに比べればエコシステムの規模は、まだまだ小さい。Fong氏は、「もちろんエコシステムの大きさはArmには及ばないが、ユーザーにとって、“他にも(=Arm以外にも)選択肢がある”というのは大きい。ArmベースとRISC-Vベースのマイコンを両方そろえていることは、当社にとって大きな強みとなっている」と強調した。当社はSEGGERなどのツールベンダーとパートナーシップを締結し、ArmとRISC-V、両方のアーキテクチャ間の移行を、より簡単にできるようにしている。そうした柔軟性が、今後の機器開発には不可欠だ」(Fong氏)
GigaDeviceは2018年に、センサーを手掛ける中国Sileadを買収。フラッシュメモリ、マイコンに続く3つ目の柱としてセンサー事業も手に入れることとなった。「われわれは着実に製品ポートフォリオを拡大している。Sileadを買収したことで、特にIoT機器向けにフラッシュメモリ、マイコン、センサーをソリューションとして提供できるようになった。とりわけIoT機器メーカーは、こうしたワンストップのソリューションを望んでいる」(Fong氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「embedded world 2020」がドイツで開幕
ドイツ・ニュルンベルクで、2020年2月25日から組み込み関連技術の国際展示会「embedded world 2020」が始まっている。毎年、多くの大手半導体メーカーが出展する同展示会だが、ことしは新型肺炎の影響で出展中止が相次いだ。 - RISC-V、関心は高いが普及には障壁も
RISC-Vは今や、SoC(Sytem on Chip)に深く組み込まれたコントローラーとしての足掛かりを確立するに至った。そこで次に、「このオープンソースのISA(命令セットアーキテクチャ)は、ホストプロセッサとして、Armやx86の代替へと大きく飛躍することができるのだろうか」という疑問が生じている。 - 中国Pingtougeが16コアの「RISC-Vプロセッサ」を開発
中国Alibaba Groupの半導体チップメーカーであるPingtouge Semiconductor(以下、Pingtouge)は2019年7月、AI(人工知能)、5G(第5世代移動通信)、IoT(モノのインターネット)、自動運転車のインフラストラクチャに向けたRISC-Vベースのプロセッサ「Xuantie 910」を発表した。 - 「RISC-V」はEmbeddedでマーケットシェアを握れるのか
2017年12月に開催された「RISC-V Day 2017 Tokyo」から、著者が注目した4つの講演を紹介する。