Xilinxの「ACAP」第3弾、FPGA22個分のロジック集積度:多数のネットワークIPを統合(2/2 ページ)
Xilinxは2020年3月10日(米国時間)、7nmプロセスを適用するデバイス「ACAP(エーキャップ)」の新シリーズとして、データセンターや有線通信向けとなる「Versal Premium(プレミアム)」を発表した。2019年6月に出荷した「Versal AI Core」「Versal Prime(プライム)」の両シリーズに続く第3弾製品となる。
適応型エンジンでハードの差異化を
ACAPで唯一、プログラマブルな部分である適応型エンジンでは、ハードウェアの差異化に使うことができる。ここのロジックを再構成することで、新しい光ネットワーク規格やプロトコルに対応したり、ネットワーク異常を検知するための機械学習のアルゴリズムを実装したりすることも可能だ。特に、ネットワーク異常検知に優れたアルゴリズムであるランダムフォレストIPは、もともとXilinxの16nm Virtex UltraScale+に実装されていることもあり、Versal Premiumでも使うことができる。
データセンターの中でも特に重要とされるのが、データセンター間を相互に接続するDCI(データセンターインターコネクト)のスループットだが、Versal Premiumは、800Gbpsのスループットを100W以下で実現できるとThompson氏は主張する。旧世代のFPGA(16nmのVirtex UltraScale+)と比較して、半分のラックスペースで同じ帯域幅を実現できるようになる。
Versal Premiumは、オンチップメモリの帯域幅を高めたことで、演算処理能力も強化。画像分類や物体検知、異常検知といったディープラーニングアプリケーションで、GPU/CPUよりも高速な推論を実現している。
Versal Premiumは、ロジック数やネットワークIPコアの数が異なる7品種をそろえる。2020年後半にツールの提供を開始し、2021年前半にチップの出荷を開始する予定だ。
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