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STは工場の出勤者数を縮小、Infineonは全て稼働中新型コロナウイルス

欧州での新型コロナウイルスの流行拡大を受け、半導体メーカー各社は従業員の健康問題やリスク要因の調査を行っている。

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 欧州での新型コロナウイルスの流行拡大を受け、半導体メーカー各社は従業員の健康問題やリスク要因の調査を行っている。

 欧州の大部分は封鎖され、経済と数億人の人々の日常生活が麻痺(まひ)している。グループPSAやRenault、Fiat Chrysler、Volkswagen、Ferrariなど自動車メーカーは、欧州全域の生産拠点で製造を停止している。フランスのタイヤメーカーMichelinはイタリアとスペイン、フランスの工場の操業を停止した。航空機メーカーのAirbusは、各国の厳格な封鎖命令に従って、フランスとスペインの施設での生産と組み立てを一時的に停止している。製造業務を停止する企業は日に日に増えており、半導体企業も例外ではない。

生産拠点の出勤者数を調整

 2020年3月17日の時点で、フランスは厳格な封じ込めルールを課しており、ほとんどの企業はリモートワークを導入して、従業員の健康と安全を守るために必要な措置を講じることを余儀なくされている。STMicroelectronics(以下、ST)は、フランスの工場のフロントエンド(前工程)とバックエンド(後工程)の製造部門を調整すると発表した。この一時的な措置は、最大50%の製造スタッフに関係するとみられる。

 STはEE Timesの問い合わせに対し、フランスの生産拠点の出勤者数を可能な限り縮小する方針であることを認めた。STの外部広報の責任者を務めるAlexis Breton氏は、「リモートワークを定着させた後、状況の変化を見極めながら、工場に勤務するスタッフの健康と安全の維持に努める」と語った。

 STの経営陣とCFE-CGC(管理職総同盟)、CFDT(フランス民主労働同盟)労働組合が署名したこの協定は、フランスの全ての生産拠点に適用される。Breton氏は、「Crolles(クロル)とGrenoble(グルノーブル)、Grenoble(レンヌ)、Rousset(ルセ)、Tours(トゥール)のフロントエンドおよびバックエンド製造部門とサポート部門において一時的な措置を講じることについて、ソーシャルパートナーと合意した。この一時的な措置は、工場スタッフの安全を最大限に守りながら事業を継続させることを目的とし、2020年3月19日から4月2日まで製造スタッフの最大50%を対象として、工場ごとに個別に適用する」と述べている。

 「STは、フランスで最大50%の生産を削減する方針」と報じているメディアもあるが、Breton氏は、「出勤者数の縮小と生産規模の削減は違う話だ。状況は、メディアが伝える粗雑な情報よりも複雑だ」と述べている。では、この出勤者数の調整は、生産全体にどれほどの実質的な影響を及ぼすのだろうか。同社が2020年にToursに導入する予定のGaNデバイスのパイロットラインはどうなるのだろうか。残念ながら、答えはまだ出ていない。

 新型コロナウイルスの感染拡大以降、STはフランスとイタリアの各政府による指導や制限に合わせて、それぞれの国で異なるアプローチを取ってきた。2020年3月9日(スイス時間)、STは声明を発表し、北イタリアでの対策を強化する一方で、イタリアに置く各拠点での製造を継続することを明らかにした。STは声明の中で「当社は、イタリア政府が発表した封じ込め対策に従っている。対策では、イタリアにあるどのST拠点に対しても閉鎖を求めておらず、職務上の慣行やニーズに基づく人員の移動や物品の運搬にも支障はない。現在までにイタリア拠点への材料の途絶は一切起きておらず、通常通りに操業している。また、そのような事態は今後も起こらないと見込んでいる」と述べていた。

 だが2020年3月20日、ジュゼッペ・コンテ首相がイタリア全土の工場閉鎖を発表し、厳戒なロックダウンはさらに厳しくなった。2020年3月25日から4月3日まで、イタリア全土にある生活に必須でない工場は全て閉鎖するよう命じられ、約3万人のイタリア人労働者が出勤停止を余儀なくされた。食料品、医薬品、情報通信サービス、エンジニアリング、コンピュータの修理や保守サービス、家電修理サービスなどは例外となる。

Infineonの工場は全て稼働

 ドイツでは、感染の拡大が続いているが、致死率は欧州の他国に比べるとかなり低い(Bloombergが州衛生当局のデータをまとめたところによると、イタリアでの致死率が9.5%であるのに対し、ドイツは0.4%にとどまっている)。ドイツ当局は2020年3月21日、2人以上の集会を禁止することを発表したが、制限は他の欧州諸国に比べ甘い。Infineon Technologies(以下、Infineon)の広報担当者は、EE Timesに対し「現時点でのさまざまな管轄にわたる政府規制では、半導体部品の製造は不可欠な製造分野の一つと見なされているため、われわれは製造拠点での労働を継続できている」と述べた。

 同担当者は、Infineonの製造施設は現在全て稼働中であると説明。その上で、「現場の状況を監視しているレスポンスチームが設置され、リスク緩和対策が実施されている」と述べた。

 Infineonの広報担当者は、社員ならびにビジネスパートナーの健康と安全が同社の最優先事項であると述べた。同社は、製造拠点をできる限りスムーズに運営、稼働し続けるために必要なことに取り組んでいるという。また、同社の製造拠点は、衛生管理が非常に優れており、病原菌に対しても高い防御力を備えていると説明した。

【翻訳:青山麻由子、田中留美、編集:EE Times Japan】

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