5G対応スマホ向けレファレンスデザインを開発:富士通コネクテッドテクノロジーズ
富士通コネクテッドテクノロジーズ(FCNT)は、Qualcomm製「Qualcomm Snapdragon 865 5G Modular Platform」を用いた、Sub-6とミリ波に対応する5Gスマートフォン向けレファレンスデザインを開発した。厚み7.6mmと極めて薄い携帯端末の開発が可能となる。
「Qualcomm Snapdragon 865 5G Modular Platform」を活用
富士通コネクテッドテクノロジーズ(FCNT)は2020年4月、Qualcomm製「Qualcomm Snapdragon 865 5G Modular Platform」を用いた、Sub-6(6GHz以下)とミリ波に対応する5G(第5世代移動通信)スマートフォン向けレファレンスデザインを開発したと発表した。基板埋め込み技術なども適用し、厚み7.6mmの携帯端末を実現することが可能だという。
レファレンスデザインに搭載したQualcomm Snapdragon 865 5G Modular Platformは、RFフロントエンドやアプリケーションプロセッサ、5G対応のモデムなどをそれぞれモジュール化している。FCNTはこのプラットフォームを採用することで、個別部品を組み合わせて実装した場合に比べて、実装面積を約35%、基板面積を約20%も削減できたという。
さらに、3次元実装を用いた基板埋め込み技術を用いることで、採用したスマホの厚みを7.6mmまで薄型にすることが可能となった。同社によれば、「Sub-6とミリ波に対応する5Gスマートフォンとしては世界最薄」という。
薄型と同時にミリ波アンテナ性能を確保するための工夫も行った。具体的には、高周波信号の信号品質を確保できる「低誘電基板」や、アンテナ配置の自由度を高めることができる「接続用フレキ」を採用した。さらに、金属と樹脂のハイブリッド筐体を用いている。これにより、アンテナに対する金属の影響を除去し、3個のミリ波モジュールをそれぞれ横置きに配置するなどして、全方向へのアンテナ放射を可能にした。
新たな熱拡散技術も採用している。従来のグラファイトシートに加え、新たに二相流冷却技術「ベイパーチャンバー」を採用した。発熱によって加熱された冷却液が気化し、ベイパーチャンバー内を対流、冷却エリアに接すると熱負荷を放散して液化する仕組みである。この技術により、ヒートスポット(熱源)を取り除くことができる。ベイパーチャンバーは、ハイブリッド筐体と一体化しており、薄型ながら装置内部全体に熱を拡散することができるという。
FCNTは、今回のレファレンスデザインをベースに、5G対応スマートフォン「arrows 5G」を2020年6月下旬以降にも製品化し、日本市場に投入する予定である。
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