非接触の指紋認証技術、1秒で4本を高速読み取り:サッカーの試合入場で実証実験
生体認証システムなどの本人確認技術を手掛けるフランスのIDEMIA(アイデミア/日本法人:アイデミア・ジャパン)は、日本エアロスペース(JAC)とともに、IDEMIAの非接触型指紋認証デバイス「MorphoWave Compact」の実証実験を日本で行った。
生体認証システムなどの本人確認技術を手掛けるフランスのIDEMIA(アイデミア/日本法人:アイデミア・ジャパン)は、日本エアロスペース(JAC)とともに、IDEMIAの非接触型指紋認証デバイス「MorphoWave Compact」の実証実験を日本で行った。
MorphoWave Compactは、3D(3次元)指紋認証センサーを使い、手の厚みなども含めて指紋を高速に読み取ることができるデバイスだ。IDEMIAは、同センサーで特許を取得している。手をかざすと、1秒以内に4本の指紋を認証することが可能だ。
IDEMIAとJACは、日本における実証実験の第1弾として、2019年末に開催されたサッカーJ2リーグ「アビスパ福岡×鹿児島ユナイテッド」で、試合会場の旧レベルファイブスタジアム(2020年3月からベスト電器スタジアム/福岡市)にMorphoWave Compactを導入。スタジアムへの入場と飲食物の受け取りという2つの実証実験を行った。
観客は、事前にMorphoWave Compactに指紋を登録しておくことで、非接触の指紋認証のみでスタジアムに入場できた。飲食物の受け取りについては、まずスマートフォンでスタジアム内の売店に飲食物を注文してクレジットカードで決済する。飲食物の用意ができたら、非接触の指紋認証で本人確認を行い、商品を受け取る仕組みだ。これにより、列に並ぶことなく購入できる。
IDEMIAは、2020年から日本市場への参入を強化し、今後も実証実験を行っていく予定だ。
IDEMIAの年間売上高は約30億米ドル。約1万3000人の従業員を抱える。MorphoWave Compactのような生体認証端末だけでなく、金融カードの製造と発行、SIMカードの製造、身分証明書の電子化など、本人確認に関連する幅広い事業を手掛けている。IDEMIAの技術を導入している分野も、警察から空港、企業まで多岐にわたる。
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