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ソニー、セルサイズ5μmのSWIRイメージセンサー可視光〜非可視光帯域の撮像可能

ソニーは、産業機器向けにSWIR(短波長赤外)イメージセンサーを開発し、2020年6月より順次サンプル出荷を始める。セルサイズが極めて小さく、多画素で小型化を実現するとともに、可視光から非可視光帯域まで撮像をすることが可能である。

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小型で約134万画素と34万画素を実現


IMX990の外観。左がセラミックPGA品、右が電子冷却素子内蔵セラミックPGA品

 ソニーは2020年5月、産業機器向けにSWIR(短波長赤外)イメージセンサーを開発し、2020年6月より順次サンプル出荷を始めると発表した。セルサイズが極めて小さく、多画素で小型化を実現するとともに、可視光から非可視光帯域までの撮像を可能にした。

 開発したSWIRイメージセンサーは2タイプで、イメージサイズが1/2型(対角8.2mm)で有効画素数が約134万画素の「IMX990」と、同じく1/4型(対角4.1mm)で約34万画素の「IMX991」である。パッケージは外形寸法が20.0×16.8mmのセラミックPGAで供給するが、それぞれ電子冷却素子を内蔵したセラミックPGA(30.0×30.0mm)も用意している。

 新製品は、独自のSWIRイメージセンサー技術「SenSWIR(センスワイア)」を採用している。フォトダイオードを形成したInGaAs層と、読み出し回路を形成したSi層との接合にCu-Cu接続を用いる積層技術である。これによって、従来のバンプ接続では難しかった画素ピッチの縮小が可能となり、InGaAsを用いたSWIRイメージセンサーでは業界最小となる5×5μmのユニットセルサイズを実現したという。


左はバンプ接続の一例、右はCu-Cu接続のイメージ図 (クリックで拡大) 出典:ソニー

 また、可視光を吸収する表面のInP層を薄膜とし、下部にあるInGaAs層まで透過しやすい構造とした。これにより、可視帯域においても高い量子効率を実現した。この結果、波長が0.4〜1.7μmと広帯域の撮像を1台のカメラで行うことが可能となった。


新製品における波長と量子効率の特性 出典:ソニー
リンゴの撮像例。左が可視光環境、右が短波長赤外光環境の画像 出典:ソニー
吸収率の違いを活用した材料選別の例。左が可視光環境、右が短波長赤外光環境の画像 出典:ソニー

 デジタル出力にも対応した。従来のSWIRイメージセンサーはアナログ出力が一般的であった。このため、産業用カメラに搭載する場合、デジタル変換回路などを別に開発する必要があった。新製品はこうした設計負荷を軽減することができる。

 サンプル価格(税別)は、IMX990の電子冷却素子内蔵セラミックPGA品が90万円。セラミックPGA品が80万円。IMX991は電子冷却素子内蔵セラミックPGA品が50万円。セラミックPGA品が40万円である。

 いずれも、サンプル品の出荷は電子冷却素子内蔵セラミックPGA品が2020年7月より、セラミックPGA品は2020年6月より始める。

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