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自動車のエレクトロニクス化を支える車載用コネクタ福田昭のデバイス通信(244) 2019年度版実装技術ロードマップ(54)

今回は自動車用のコネクタを解説する。車載用コネクタは「パワートレイン(駆動系)用」「セーフティ(安全系)用」「インフォテインメント(情報・通信系)用」「ボディ系用」の4つに大別される。

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自動車エレクトロニクスが車載用コネクタの開発をけん引

 電子情報技術産業協会(JEITA)が発行した「2019年度版 実装技術ロードマップ」に関する完成報告会(2019年6月4日に東京で開催)と同ロードマップの概要をシリーズでご報告している。今回はその第54回である。

 本シリーズの第31回から、第4章「電子部品」の概要を説明してきた。第4章「電子部品」は、「4.1 LCR部品」「4.2 EMC対策部品」「4.3 センサ」「4.4 コネクタ」「4.5 入出力デバイス」の5つの節に分かれる。前回から「4.4 コネクタ」の概要をご紹介している。前回はコネクタの定義や形状、用途などを説明した。今回は、自動車用のコネクタ(車載用コネクタ)を解説する。既に本シリーズで説明したように、自動車ではエレクトロニクス化の進展が著しい。このため、多様なコネクタが自動車で使われるようになってきた。


2019年6月4日に東京で開催された「2019年度版 実装技術ロードマップ」完成報告会のプログラム。本シリーズの第31回から、第4章「電子部品」(プログラムの8番)の概要を紹介している。出典:JEITA(クリックで拡大)

第4章第4節「4.4 コネクタ」の目次詳細。ロードマップ本文から筆者が書き出したもの。なお下線部は、今回で説明する部分を指す(クリックで拡大)

車載用コネクタの用途別分類

 車載用コネクタは用途の違いによって大きくは「パワートレイン(駆動系)用」「セーフティ(安全系)用」「インフォテインメント(情報・通信系)用」「ボディ系用」の4つに分かれる。最近では、「ADAS/自動運転用」「コネクテッドカー用」「環境/EV用」といった新しい用途に適したコネクタも登場している。


車載用コネクタの用途別分類。従来用途である4つの分野に加え、最近では「ADAS/自動運転用」などの新しい分野が出てきた。出典:JEITA(クリックで拡大)

 「パワートレイン(駆動系)用」のコネクタはエンジンやトルクコンバーターなどの近くにレイアウトされる。高温と振動、風雨にさらされるといった厳しい条件に耐えなければならない。具体的には使用温度で−40℃〜+150℃、防水性能は「IP(Ingress Protection)69K」が要求される。ここでIP69Kとはドイツの保護規格DIN 40050 PART9で定められた高温・高圧水に対する保護仕様で、80℃の水(湯水)を80BAR〜100BARの水圧でノズルから浴びせたときに有害な影響を受けないことが求められる。

 「セーフティ(安全系)用」の代表的なコネクタはエアバッグ用コネクタである。衝突検知センサーやECU(電子制御ユニット)、イグナイター(点火ユニット)などに使われる。エアバッグは人命に直接関わる機能であることから、コネクタには高い信頼性を求められる。

 「インフォテインメント(情報・通信系)用」コネクタは、カーナビゲーションシステムを始めとする車載の情報通信機器同士の接続、運転者および同乗者が持ち込むモバイル情報通信機器と車載機器の接続に使われる。情報通信機器のインタフェースが高速化していることから、高速伝送に適したコネクタが使われる。

 「ボディ系用」は自動車内部でECUの監視用、給電用、制御用、車載LAN用などに使われるコネクタである。

 「ADAS/自動運転用」のコネクタには、高周波高速伝送と防水機能が求められる。ステレオカメラ、センサー、LiDARなどで使われるコネクタである。

次回に続く

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