動画配信を低コストに、Xilinxのビデオアプライアンス:リファレンスアーキテクチャ(2/2 ページ)
Xilinxは2020年6月16日(米国時間)、同社の「リアルタイム(RT)サーバーリファレンスアーキテクチャ」として、ビデオのトランスコーディングに特化したアプライアンス(以下、ビデオアプライアンス)を発表した。同社として初のアプライアンス製品となる。
エンコーディングの性能は、Intel搭載サーバ5台分に相当
Xilinxのデータセンターグループ ビデオ製品マーケティング担当ディレクターを務めるAaron Behman氏によれば、ビデオアプライアンス(Alveo U50搭載版)は、HPE(Hewlett Packard Enterprise)のサーバで評価が完了したばかりだという。同サーバは既に提供が開始されている。その他、Wistron、Hypertec、Bostonの3社は、Alveo U30搭載版のビデオアプライアンスを採用したサーバを市場に投入する。このうちHypertecのサーバは日本でも入手可能だ。
Behman氏は、エンコーディングの性能について、「Alveo U50を搭載したビデオアプライアンスを使用したHPEのサーバ1台のスループットは、Intel『Xeon』プロセッサを搭載したHPEのサーバ5台分に匹敵する」と述べる。具体的には、ビデオアプライアンス(Alveo U50搭載)を使用した1台の「ProLiant DL385」サーバは、Xeonを搭載した「ProLiant DL380」サーバに比べ、ノード当たりのスループットは5倍、ハードウェアのコストは6分の1、消費電力は3分の1になったという。
Alveo U30搭載品のエンコーディング性能については、ProLiant DL385サーバ4台分に相当するとBehman氏は述べる。
なお、Behman氏は、2020年6月12日に日本のメディア向けに行われたオンライン説明会で、「Xilinxのカードを採用してビデオトランスコーダーを開発している機器メーカーと、競合することになるのではないか」との質問に対し、「一部で競合する可能性はある」としつつ、「ただXilinxは、eスポーツなど比較的新しいアプリケーションエリア、つまり(Xilinxの顧客である)既存の機器メーカーがあまり対応していない分野にフォーカスしていく予定だ」と説明した。
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