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中国半導体産業、政府の“野心”には追い付けず米とのテクノロジー冷戦も影響

数年前に設定された中国の半導体における野心的な技術目標は、達成可能なものというより“願望”だったのだろう。これは、「2030年までにAI(人工知能)技術で世界をリードする」という中国の野望についても言えることだ。

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 数年前に設定された中国の半導体における野心的な技術目標は、達成可能なものというより“願望”だったのだろう。

 これは、「2030年までにAI(人工知能)技術で世界をリードする」という中国の野望についても言えることだ。さらに、中国政府が策定した半導体産業計画である「Made in China 2025(中国製造2025)」にも当てはまるというエビデンスも示されている。

 テクノロジー冷戦が迫りくる中で、中国の半導体製造の成長を予測することは日に日に困難になっている。米国が輸出規制を強化し、米国製の最先端製造装置の利用を阻止しようとしていることで、半導体のトップメーカーであるHiSilicon Technologyとその親会社であるHuaweiの微細化も遅れる可能性が高い。

 米国の市場調査会社であるIC Insightsは、こうした事実を考慮した上で、中国を拠点とする半導体製造は2024年までに430億米ドルに増加すると予測しているが、これは5070億米ドルを上回ると予想される世界IC市場の8.5%にすぎないという。


中国のIC市場とIC製造の推移 出典:IC Insights

「Made in China 2025」は戦略ではなくスローガン

 IC Insightsは、中国における半導体製造の少なくとも半分は、IntelとSamsung Electronics、SK hynix、TSMCと共同運営するファブでの生産が続くと予測している。このことからも、Made in China 2025は戦略というよりもスローガンにすぎないという見解に対する信ぴょう性は高いと考えられる。

 米国の関税と輸出規制の強化は、中国の国内生産者を奮起させるだろうか。その答えは恐らくイエスだろう。だが、中国政府がその技術目標を達成するには、潤沢な資金と“美辞麗句を並べたスローガン”を裏打ちする実質的な成果が伴わなければならない。必要なのは、DRAMであれAIアルゴリズムであれ、イノベーションを支える研究開発インフラの構築に向けた、たゆまぬ投資である。

 AIにおける優位性の確立という中国の目標も、揺らいでいるように見える。テクノロジー学者のDieter Ernst氏は最近の研究で、「中国のAI産業は未成熟で断片化されており、主に投資収益率の高いAIアプリに焦点を当てている」と結論づけている(関連記事:「中国は本当にAI先進国なのか」)。中国政府がAI開発にどれだけ資金を投入してきたとしても、中国はまだ真の技術革新に必要なエコシステムを開発できていない。

 半導体やその他の重要なエレクトロニクス技術についても、同じことが言える。

 他の観測筋も、中国のAI能力に対するErnst氏の懐疑的な見解を支持している。英国の技術コンサルタントAccess Partnershipで国際公共政策マネジャーを務めるXiaomeng Lu氏は、最近開催されたAI関連のイベントで、「中国政府は、今から2030年までの中国AI産業の発展に向けて、非常に野心的な目標を設定している」と語った。

 この壮大な計画には、技術の進歩と産業の拡大、AI政策のロードマップの確立という3つの要素が含まれている。Lu氏は、「最初の2つの目標が“願望“にすぎないことは変わりないが、中国は今後10年間でAIの技術基準を確立できるところまで来ている」と付け加えた。

 その先については、まだよく分からない。

 中国はスーパーコンピューティングなどの分野で成功を収めているが、コンピュータOSなどの固有技術の開発を目的とした過去5年間の計画は的外れであった。IC Insightの予測によれば、半導体についても同様のことが言えそうだ。

 中国の業界観測筋は、技術面で欧米からの独立を達成するには、山ほどの資金と5カ年計画以上のものが必要になると結論付けている。政府は民間企業と協力してこれらのことを実現しなければならない」とLu氏は述べている。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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